第108話

95話∞
135
2026/04/26 09:20 更新
フランシス・F
見つけたぞ……
ストレイドッグス




太宰治
鏡花ちゃん
太宰治
人には向き不向きがある
太宰治
そして君には明らかな殺しの才能がある……だから君は探偵社員になれない
太宰治
君はそう思ってるの?
太宰治
全く莫迦莫迦しい
太宰治
その考えが如何に根拠薄弱か、一秒で証明してみせよう
太宰治
鏡花ちゃん……君はその手で何人殺した?
泉鏡花
……三十五人
太宰治
たかが三十五人くらい何だ
泉鏡花
太宰治
善いかい鏡花ちゃん
君は探偵社のすべてを知らない
太宰治
自分自身のすべても知らない
すべてを知ることは誰にも出来ない
太宰治
それを…可能性と云うんだ
太宰治
君にチャンスをくれた敦くんだって、元は災害指定猛獣だ
太宰治
でも今、彼は彼にしか出来ないことを命がけでやってる。この街を守るためにね




フランシス・F
ふっ!
芥川龍之介
ぐあ゙ッ!
中島敦
………っ!
フランシスに蹴飛ばされた芥川を見た敦は、

周囲に逃げ道がないか探す
中島敦
はっ!あれだ!
貨物用エレベーター!
エレベーターに駆け込んだ敦は体でボタンを押す

しかし、扉が閉まる寸前、芥川が滑り込んでくる


エレベーターの中で二人は背を向けながらその場に佇む
中島敦
あんな桁外れの異能力に勝てる訳ない……
中島敦
隙を見て、端末を奪う方法を考えないと
芥川龍之介
ふっ、くくく……
芥川龍之介
相変わらず愚かな奴だ
中島敦
何っ!?
芥川龍之介
……このはこの行き先は、逃げ場なき甲板搬入口
芥川龍之介
袋小路に追い込まれたのは僕等やつがれらの方だ
中島敦
……そんな
芥川龍之介
ふっ……
芥川龍之介
この程度の輩に一度は敗れたとは、屈辱の極みだ
中島敦
っ!
芥川龍之介
しかも生きて善い理由を他者に求めるような下らぬ輩に……
中島敦
……確かに僕は下らない
中島敦
でもお前みたいに、力を誇示したいだけの殺人鬼より、百倍はマシだ!
芥川龍之介
……何だと
中島敦
力も地位も十分あるのに、ただ皆に怖がられたいから戦うなんて、
芥川龍之介
ッ!
中島敦
その方が余程下らな……
そう敦が云い終わる前に羅生門が敦の首を掴み上げる
中島敦
がアッ!
中島敦
くっ……
芥川龍之介
取り消せッ……!
中島敦
……っ!
芥川龍之介
僕に力も地位もあるだと……
中島敦
ぐわアッ!
羅生門で壁に投げ飛ばされた敦の襟を芥川が掴む
芥川龍之介
貴様を不快だと云った理由を教えてやる!
芥川龍之介
それは貴様が凡てを持っていながら!
芥川龍之介
そのことに気づきもせず、己が古傷に甘え続ける愚か者だからだ!!
中島敦
……何?
……僕が、何だって?
目を見開いた敦が呟く
芥川龍之介
異能力に恵まれ、出会いに恵まれ!
芥川龍之介
努力もせずただ運だけで太宰さんに認め称えられながら!
芥川龍之介
貴様はその幸福にも気づかず、己の悲劇ばかりに浸る、愚物だからだ!!
中島敦
……っ!


芥川龍之介
戦果なき限り、あの人は僕を認めぬ
芥川龍之介
太宰さんは決して……


中島敦
……太宰さんって……
中島敦
まさかお前……ずっと……




エレベーターを降り、白鯨の甲板に出た敦と芥川に声が掛かる
フランシス・F
鬼ごっこはそろそろ終わりにしよう
フランシス・F
あと十分足らずで白鯨の高度は復興限界を下回る
フランシス・F
それを過ぎれば、
この端末でも街への落下を防げない
フランシス・F
生き残るのは、
異能力で身体強化した俺だけだ
芥川龍之介
成金背広
芥川龍之介
貴様ほどの強者を倒せば、僕も弱者では無くなるか?
フランシス・F
保証しよう
芥川龍之介
ならばこの身が幾つ砕けようとも惜しくはない
中島敦
………!
芥川は異能力を発動する

天魔纏鎧てんまてんがい、羅生門を全身に纏った姿へと変わる

フランシスは不敵な笑みを浮かべながら攻撃を仕掛ける

芥川の頭上からフランシスの蹴りが直撃し、

蹴りを振り払った芥川はそのまま右手で

フランシスを殴り飛ばす
フランシス・F
異能力で体を強制操作しているのか……
芥川は高く跳躍し、フランシスを甲板へ叩き落とす
中島敦
芥川はあんなに強いのに……自分のことを弱者だと思ってる
中島敦
だとしたら言語道断だ!
中島敦
その身勝手で何人死んだと思ってる!
中島敦
虎よ……もう一度僕に力を……
あの時のように!
敦は腕、脚、目を虎化させた姿へと変わる

眼前に戦闘中のフランシスと芥川を捕らえると、

虎化した腕でフランシスを殴り飛ばす
芥川龍之介
邪魔をするな!人虎!
中島敦
お前こそ!邪魔をするな!
芥川を払い除けて、フランシスへ攻撃を繰り出す敦

しかし、その頭上から芥川の一撃がフランシスへささる

フランシスは後退し、片膝をつく
中島敦
何が太宰さんだ!お前の方が下らない!
芥川龍之介
笑止!
芥川龍之介
僕より貴様の方が下らぬ!
フランシス・F
………面白い
芥川龍之介
っ!
中島敦
っ!
フランシスの言葉に二人は目を向ける
フランシス・F
……ふっ
フランシス・F
君達は実に、似た者同士だ
中島敦
……ッ!!
芥川龍之介
……ッ!!
フランシス・F
何!?
中島敦
こんな奴と!
芥川龍之介
一緒に!
中島敦
するなアァッ!
芥川龍之介
するなアァッ!
敦と芥川の息の合った拳にフランシスは吹き飛ばされる

その勢いで、甲板は大きな煙に包まれる

芥川は異能を解き、地面に崩れる
芥川龍之介
ぐっ……
芥川龍之介
黒布に、鎧と外筋の役を担わせるこの技……脆弱な肉体が持たぬ……!
中島敦
……休憩か?芥川
芥川龍之介
黙れ!次は貴様だ
中島敦
制御端末が先だ
中島敦
この船が街に落ちたら……太宰さんまで吹き飛ぶだろ
芥川龍之介
………
芥川龍之介
あの人がこの程度で死ぬものか……
芥川は立ち上がる

同時に強風が吹き、煙が晴れていく
芥川龍之介
中島敦
フランシス・F
タイガービートル……
教えてくれ
フランシス・F
この世界で、凡てを犠牲にする価値のあるものが……家族以外に存在すると思うか?
フランシス・F
俺は本を手に入れる
そして娘をこの世に呼び戻す!
芥川龍之介
娘?
フランシス・F
妻ゼルダは……
フランシス・F
娘の死を受け止められず……心を病み、娘はロンドンに留学中という
フランシス・F
妄想の中に、今も逃げ込んでいる
フランシス・F
俺はその妄想を現実にし、家族を取り戻す
どんな犠牲を払っても
フランシスの体が凄まじい光へ包まれる
フランシス・F
処分可能な俺の資産……その凡てを支払う!!
中島敦
ぐわあッ!
強烈な風圧に、敦と芥川は吹き飛ばされる

白鯨の甲板には光の柱が途絶えることなく煌めいている
中島敦
桁違いだ……
中島敦
まるで巨大な竜巻の前にいるみたいだ………
中島敦
これが……ギルドの長の覚悟……


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