第23話

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2026/02/02 12:48 更新
.中島敦
っ……芥川…

芥川龍之介
……人虎に鏡花か。


薄暗い裏路地で目的の場所に行けば既に芥川がその場に到着していた。

思わず警戒してしまう僕を鏡花ちゃんが抑え、持っている封筒を手渡す。


泉鏡花
これが、水野愛と有馬祐樹についての情報。

芥川龍之介
……確かに承った。


険しい表情を浮かべる芥川に鏡花ちゃんも少し表情を曇らせている。

当たり前だろう、ポートマフィアの首領、そしてその補佐が消えたのだから気も抜けない。

探偵社だって神経を張り巡らせてるのか社内がピリピリしているのだから。


.中島敦
……二人が死んでるってことはないんだよな?

芥川龍之介
無論だ。その程度でくたばる者にポートマフィアという組織の長など務まらぬ。

泉鏡花
……それでも、異常事態であることに変わりはないから。

芥川龍之介
……二人からの連絡は未だにない。今は中也さんと尾崎幹部中心に動いている。僕とて暇ではない。

.中島敦
そうか……。鏡花ちゃん、僕達も戻ろう。気を付けろよ、芥川。

芥川龍之介
貴様に言われずともわかっている。


そう言って彼奴は音もなく消えた。

一先ず仕事を終えた僕達は顔を見合わせて頷き、そして次の仕事をもらうため探偵社に走り出した。
江戸川乱歩
……

福沢諭吉
……乱歩。

江戸川乱歩
大丈夫、彼が僕達に危害を加えることはないよ。


凍り付くような緊張感に包まれたとあるヨコハマの倉庫の一角。

いつでも日本刀を抜けるように柄に手を添えた福沢。そして眼鏡をつけ、レンズに深緑の瞳を映し出している乱歩。


フョードル・D
こんにちは。武装探偵社社長、福沢諭吉さん。そして江戸川乱歩さん。

福沢諭吉
っ……

フョードル・D
私をこのようなところに呼び出すとは……血迷われましたか?大切なポートマフィア首領を失って。

江戸川乱歩
……君に用があるのはこの僕だ。


ふっ、と一呼吸置き、乱歩はぐっと拳を握りしめ余裕の笑みを浮かべているフョードルと目を合わせた。


江戸川乱歩
この一件に協力してほしい。

フョードル・D
と、言いますと?

江戸川乱歩
あの二人と僕達では相性が悪すぎる。このまま二組織が総力を挙げて戦ったとしても勝算は五分五分、勝てたとしても少なくない犠牲が必要になるんだ。


乱歩の言葉に鼠との交渉など、裏切れと言っているようなものです。とフョードルは言いながら唇に手を当てた。


フョードル・D
……只、その申し出は私達にとっても利益があります。

江戸川乱歩
それを加味して僕はこの提案をしている。

フョードル・D
名探偵の貴方には私の考えなどお見通しだ、と。


僕にできることはこれまでだ。と乱歩はカチャリと眼鏡を外す。

暫くの沈黙の後フョードルは再び笑みを浮かべた。


フョードル・D
いいでしょう、協力して差し上げます。

江戸川乱歩
……

フョードル・D
今すぐに人でが必要ですか?ならば…

江戸川乱歩
いや、必要になったら連絡する。

フョードル・D
そうですか。なら私は之にて…


カツカツ、と音を響かせて裏路地へと消えていったフョードルを見届け、乱歩ははぁ、とため息をついた。


江戸川乱歩
社長~、僕もう疲れたんだけど……

福沢諭吉
よくやったな、流石だ。

江戸川乱歩
まぁ名探偵だからね!……まぁ、今できることはもう終わった。後は、


いかに早くあの二人・ ・ ・ ・探し出せるかだ。

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