薄暗い裏路地で目的の場所に行けば既に芥川がその場に到着していた。
思わず警戒してしまう僕を鏡花ちゃんが抑え、持っている封筒を手渡す。
険しい表情を浮かべる芥川に鏡花ちゃんも少し表情を曇らせている。
当たり前だろう、ポートマフィアの首領、そしてその補佐が消えたのだから気も抜けない。
探偵社だって神経を張り巡らせてるのか社内がピリピリしているのだから。
そう言って彼奴は音もなく消えた。
一先ず仕事を終えた僕達は顔を見合わせて頷き、そして次の仕事をもらうため探偵社に走り出した。
凍り付くような緊張感に包まれたとあるヨコハマの倉庫の一角。
いつでも日本刀を抜けるように柄に手を添えた福沢。そして眼鏡をつけ、レンズに深緑の瞳を映し出している乱歩。
ふっ、と一呼吸置き、乱歩はぐっと拳を握りしめ余裕の笑みを浮かべているフョードルと目を合わせた。
乱歩の言葉に鼠との交渉など、裏切れと言っているようなものです。とフョードルは言いながら唇に手を当てた。
僕にできることはこれまでだ。と乱歩はカチャリと眼鏡を外す。
暫くの沈黙の後フョードルは再び笑みを浮かべた。
カツカツ、と音を響かせて裏路地へと消えていったフョードルを見届け、乱歩ははぁ、とため息をついた。
いかに早くあの二人探し出せるかだ。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。