第24話

第三話
100
2025/02/10 16:14 更新
あなた
………え?
平重衡
…早く
あなた
は、…はい。
戸惑いながら握り返すと、ぐっと手を引かれる
…あったかい
手のひらから伝わる体温に少し心がほっとする
……稽古場を後にする私たちを止めようとする人は誰もいなかった。





…重衡さんは、私の為じゃないと言ってたけど
あなた
…ありがとうございました。重衡様。助かりました
あなた
…それと、ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありません
綺麗な庭園を歩きながら重衡さんは呆れた、とでも言うように私に視線を向ける
平重衡
……覚え、いい方なんじゃなかったの。
平重衡
昨夜のこと、まさかもう忘れたわけじゃないよね
平重衡
あんな扱いしてきた相手にお礼を言うっておかしいんじゃないの
あなた
…それとこれとは話が違うでしょう。
あなた
見捨てても良かった駒を、わざわざ助けてくださったんです。
あなた
助けて頂いた身なのに、お礼を言わないのは少々お門違いだと思いますので
あなた
それに、分かったんです
平重衡
何が
あなた
重衡様は、実力があるからこそ、人に厳しく出来る。ということを
平重衡
は……
重衡さんの瞳が虚を突かれたように見開かれる
あなた
…私が、昨夜言った言葉を、取り消す訳ではありません。……私は弱くない
あなた
ですが、私も、言葉足らずだったと反省しています。
あなた
私が、この御所の中で、何ができて、何をするべきなのか……昨夜答えられなかったことを、ちゃんと考えていきたいのです
平重衡
……
あなた
…この発言が、能天気だと思うのであれば、それでも大丈夫です。
ですが
あなた
私は、与えられた役は、しっかりとやらなければいけないたちなので。
しばしの無言。
…気に入らないことを、言っただろうか
あなた
…重衡様?
その後、僅かな沈黙の後、重衡さんはふっと息をつく
平重衡
礼は本当にいらない
平重衡
___こういうことになるのも、初めてのことじゃないしね
あなた
…そうですか
その言葉に返ってきた反応は、何処か不貞腐れた重衡さんだった
平重衡
…なんというか、意外と打たれ強いんだね、君って
平重衡
昨日の今日で、絶対落ち込んでると思ったのに
あなた
…あの程度なら、慣れっこですよ
平重衡
…え?
あなた
…それより、分かった上での発言だったんですね
平重衡
…そりゃあね。だからこそ予想外だ
重衡さんが微かに眉をひそめ、そして、私をまっすぐに見据えた
平重衡
___変な人
あなた
変、か…ふふっよく言われました
あなた
でも、理由はあんまりわかってないんですよね。
…変ですか?私。
平重衡
変だよ。何だか君を見てると……
言いかけた言葉を呑むように重衡さんがぐっと押し黙る
…何か言いにくいこと?
平重衡
何でもない。俺は仕事があるからもう行くからね。



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