そう言って扉を開けたのだが、特に返事は帰ってこず、妙な静けさだけが漂う。少し部屋の奥へと進んでも、明かりは点いておらず、暗い部屋にびっくりする。
明かりをつけても、その場に大橋の姿は見当たらず、変な冷や汗が出る。何処か言ってしまったんだろうかって思いながら、部屋をウロウロして、ベッドの方を見た時、大橋はそこで横たわっていた。
すぐさま近付いて、名前を呼びながら相手の顔を覗けば、目を閉じて綺麗な寝息が聞こえていた。
寝てるんだなって理解すれば、起こすのはなんだか気が引けてしまって、そのままそっとしておくことにした。まぁでも、寝ている姿が可愛くてこっそり写真を撮ったり頬をつついたりしたことは秘密にしておこうかなって思う。
ピコンと着信音に少しびっくりしたが、どうやら内容は、『今日も丈くん家行っていい?』だった。勿論だが答えはNO。昨日は仕方なかっただけであって今日は別。それに、今日を許せば大橋が戻るまで家に上がってきそうな気がして、そうさせない為にも断る。
『ケチ』って送られてきたが、別に仕方ないじゃんかって言い訳こぼしながらも、その変わりにと、さっき撮った大橋が寝ている写真を送った。
その写真見せたら『はァァ??』ってかえって来たのだが、それ以降何か言われることも無くなった。諦めたんかな?
ふはっとにっこり笑う大橋。何か肩の荷が落ちたように、懐かしく思うあの笑顔をこちらに見せた。一体何を気にして思い詰めていたのかなんてさっぱりだけど、でも、それでも今目の前にいる大橋には笑顔でいて欲しいと願ってハグをした。
急なことにびっくりしたけれどすぐにハグ返しをして、二人の笑い声が部屋内に響く。
インターホンが鳴って、なんだろうって覗いて見たら
『丈くーん』
と、アポ無しでメンバーが揃いも揃ってやってきた。正直通したくない…通したくないけれど、メンバーの声を聞いてしまった大橋がすごい嬉しそうにしていたから、仕方なく…仕方なく通すことにした。
少し待っていたら、インターホンが鳴り、扉のロックを解除して、中へと入れた。
わざとらしい会話を繰り広げているが、これは大橋のご飯を食べさせないための作戦に過ぎなかった。
大橋の発言により、大橋の飯にありつける組は大はしゃぎ、逆に食べてきてしまった2人はなんだかしょんもりしていた。
7人はぞろぞろと丈くんの部屋を後にし、7人仲良く、大橋の家へと向かって行った…



















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。