ケーキを食べる手をとめて、一織くんを見る。
さっきの質問が名前についてだったから、今度はどんな質問がくるんだろうって結構身構えてたんだけど...
思った以上に普通...というかなんというか...
て、少しでも思った私がバカだった。
私の推しは一織くん。
そして、私の目の前にいるのも一織くん。
本人前にして言うの、結構ハズくない!?
可愛い。ちょっとムスッとした感じが、ちょっと胸をくすぐらせる。
言っちゃったよ...すごい恥ずかしい...
多分今私の顔は真っ赤だろう。
一織くんが何か言うのを待つ。
覚えてるに決まってるよ。だってめちゃくちゃ嬉しかったから。
だけど、まさか一織くんが覚えてくれてたなんて...私って認識されて...たってこと?
さっきから思ってたけど、一織くんって結構恥ずかしいこと恥ずかしげもなく言える人...?
私が恥ずかしくて死にそうなんだけど...!
そう言いながら、最後の一口をパクッと食べた。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。