『へぇ~! 心操くんの個性って洗脳なの!?』
『マジ!? すげぇ、初めて聞いた!』
『うらやまし〜』
『悪ィことし放題じゃんか!』
『私ら操ったりしないでよ〜?』
心操『ははっ、みんな、そう言うよ』
昔に言われた、そんな言葉。
そりゃ、俺も他人が持ってたらまず悪用を思いつく。
犯罪者、ヴィラン向きだねって間接的に言われるのは、もう慣れた。
そういう世の中、仕方のないこと
でも、君は
『すごいじゃん。救助活動や敵逮捕に大きく貢献出来る個性だし』
『私、お世辞は得意じゃないし・・・すごいと思ったことは、素直に言うよ』
滅多に誰かを褒めたりしない、滅多に笑顔を見せない君が、そう言って少し、笑ったから。
心操「・・・そっか、ありがとう」
俺も、君の笑顔と同じくらいの自信が持てたんだ。
だから、勝って、『ありがとう、君のお陰だよ』って、言いたかったんだ。
緑谷「心操くんは、何でヒーローに」
心操「・・・憧れちまったもんは仕方ないだろ」
そんな憧れなんて、きっと叶わな____
「かっこよかったぞ、心操!」
上から聞こえて来た、そんな言葉。
言われ慣れてなんて、いない。
「正直ビビったよ!」
「俺ら普通科の星だな!」
「障害物競走1位の奴と良い勝負してんじゃねーよ!」
それだけじゃない。
プロヒーローたちからの、俺への言葉とは思えない言葉の数々。
「聞こえるか? 心操。おまえすげぇぞ!」
_____俺は、友人に恵まれたのかもしれない。
「ほら、あんたも言いなよ!」
「ずっと何か言いたげにしてんのわかってんだからね!」
まだ、慣れない言葉を言ってくれるんだろうか?
ぐいっ、と前に押し出されたのは、今一番お礼を言いたい相手で。
あなた「____っ心操くん!」
ぎゅっと瞑っていた目が大きく開かれ、目線が交わる。
あなた「かっこよかったよ!」
_____本当、君って奴はどれだけ俺を。
心操「・・・結果によっちゃ、ヒーロー科編入も検討してもらえる。覚えとけよ! 今回は駄目だったとしても絶対諦めない!」
ヒーロー科入って資格取得して、絶対お前らより立派にヒーローやってやる!
そうハッキリ言えば、緑谷は声に出して頷いた。
心操「フツー構えるんだどな、俺と話す人は。そんなんじゃすぐ足を掬われるぞ。
せめて、みっともない負け方はしないでくれ」
俺の中での体育祭が、静かに終わった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。