第2話

2人の時間
2,406
2020/07/30 14:00
澤村「あなたがもう2年生か。早いな〜」



「大地くん、お父さんみたいだよ。」



私たちは学校へ行くのも、家に帰るのも一緒。



大地くんが心配しすぎなのもあるけど、



昔、いろいろあったから。












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(過去の話)

4年前。



私が中学1年生の頃。



その頃から学校へ行くのは一緒だった。



でも、大地くんはバレー部に入っていて、私は部活に入っていなかった。



だから、帰りは時間が合わなくて一緒に帰ることができなかった。



途中まで友達と帰っていても、どこかで必ず1人になる。




友達と離れて、1人になったタイミングでその事件は起こったんだ。




私は、異性と同性関係なしに人の目を惹き付けてしまうらしい。



私自身、全く自覚はないけど…




お母さんも昔からそうだったみたい。



過去形なのは、私が小学生になった時に病気で死んじゃったから。



そしてお父さんもまぁかっこいい。



だからか、ストーカーにつけられてたんだ。



いきなり知らないおじさんに話しかけられてすごく怖かった。



当時は中学生で、男の人に力で勝つことはできなくて、



危うく連れていかれそうになったところを、たまたま部活内容がミーティングで、いつもより早い時間に帰っていた大地くんが助けてくれた。



この日から帰りも必ず大地くんと一緒に帰ることになった。



でも、部活をやってる大地くんと、やっていない私では、どうしても時間が合わなかったから、



もともといなかったバレー部のマネージャーになることになった。



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こんなことがあったせいで、高校生になった今でも一緒に登下校をしている。



私は大地くんと2人でいれるこの時間が大好きだけど、



大地くんはどう思ってるんだろう。



めんどくさくないのかな?



「ねぇ大地くん?」



澤村「ん?どうした?」



「私、もう高校生なんだし、そろそろ1人でも大丈夫だよ?」



私は高校ではマネージャーをやっていない。



去年は教室に残って、バレー部が終わるタイミングで体育館に行って一緒に帰ってたけど、



さすがにもう大丈夫だ。



澤村「何言ってるんだ?ダメに決まってるだろー。もうあんな怖い思いはさせたくないし、俺もしたくないからな。」



「大地くんも怖かったの?」



澤村「そりゃあ、大事な人が知らん人に連れ去られそうになってたんだぞ?軽くトラウマだよ。」



そう言って大地くんは笑ってたけど、



私は、『大事な人』って言われたことが嬉しくてその後のことは何も聞こえなかった。



澤村「あなた?顔赤いぞ?」



大地くんが伸ばしてきた手を思いっきりよけて、



「だ、大丈夫だから!!」



と言った。



大地くんは私の反応に少しびっくりして、その後すぐに笑顔になった。



澤村「とにかく、あなたは黙って俺に守られてればいいんだから。
俺がめんどくさいと思ってるかもとかありえない心配はするなよ?」



そう言いながら頭を撫でてきた。



ほら、そういうとこだよ。



なんで私が思っていることが簡単に分かっちゃうんだろう。



澤村「小さい頃から一緒だったんだ。
当たり前だろ?」



「…な!?」



澤村「あなたが考えてることくらいすぐ分かるぞ。」





何も言ってないのに…




澤村「今日は、始業式終わってから部活だから、多分5時くらいになるかな。」



午前中は入学式で、午後から始業式だった。



「まだ1年生は部活来ないの?」



澤村「来ないぞ。来週の月曜から仮入部開始だからな。」



じゃあ、2・3年生だけか…



「私も今日体育館行ってもいい?
潔子さんのお手伝いするし。」



去年、帰る時に毎日体育館へ行っていたらバレー部の人たちと仲良くなった。



同じクラスの力と成田がバレー部なのは知らなかったけど。



中学生の時マネージャーをやっていたことから、合宿の時とかは手伝ってたし潔子さんのことも知ってる。



澤村「お、部活来てくれるのか??」



「みんながいいなら。」



澤村「いいもなにもあいつら喜ぶぞ!」



「じゃあ行くね。」



澤村「おう!」



もうすぐ学校に着く。



2人でいられる幸せな時間も終わり。



同い年だったら、クラス一緒かな〜とかいろいろ楽しみがあったんだろうな…






『おーい!!!』



あ、スガさんだ。



澤村「おぉ、スガ。」



「おはようございます。」



菅原「あなたおはよ!

大地ー。俺ら同じクラスだぜ!」



澤村「そうか。
今日の部活あなたも来るってさ。」



菅原「いや反応うす!!もっと喜べよ!
え、まじ!?あなた来てくれるの?」



朝から元気だな…



「はい。行きます。」



菅原「やりー!俺頑張っちゃう!」



『あなたー!!』



あ、夏海だ。



「私も友達のとこ行くね。じゃあまた部活で。」



澤村「おう!」



菅原「あなたと一緒に登校とか羨ましい…」



スガさんが何か言ってたけど聞こえてないふりをした。


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