阿部Side
大学が終わって一旦家に帰る。
今日は塾があるから、その用意をしてから辰兄に「今日遅くなるね」とLINEを送る。
塾に着くと既にラウが俺の事を待ってた。
塾内を走り回って10秒で準備を終わらせた。
過去最速かもしれないww
今日は俺の担当生徒の中でラウが最後。
今は…9時かぁ……
今から、来週の準備をして…俺が戸締まりしないとだから片付けして…
だいたい帰れるのは9時30分。
やった…!
予定より30分早く帰れそう!
誰もいない部屋の中。
俺は呑気に鼻歌を歌いながら片付けを進める。
そのとき入り口近くからガタッと物音がした。
気のせいだったかな…?
いや…気のせいじゃない!
俺しかいないなずなのに物音がする。
お化け屋敷は得意でもリアルは無理。
早く帰ろ……
〈 ガ チ ャ 〉
扉が開く音がして悲鳴をあげる。
音の方を見ると…
あ、なら…さっきの物音は蓮ってこと?
なんだ… そういうことか…
その場にへなへなと座りこんでしまった。
本当に心臓が止まるかと思った…
俺だって男だし危ないも何も無くない?
どういうことよ…
ひょろいから一人で帰えるのもだめ。
鍛えるのもだめって。
蓮がさりげなく俺を歩道側に誘導して蓮は車道側を歩いてくれる。
蓮は顔がイケメンなのに中身までイケメンとか…完璧過ぎでしょ。
俺の大学の女の子も蓮の事について聞かれるのに…
蓮、イケメンにもほどがあるよ!
俺でもキュンってしちゃうほどだよ!!
兄弟でこんなに違うとは…
俺、可愛くないし…
20歳の男に言うことじゃないでしょ…
あ!蓮は可愛いよ?
世界一の俺の弟だからね!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。