「ロウ!ごめん待った?」
振り返れば
走ってきたのか少し息が切れているあなた
「いや、俺も今来たし」
やばい、破壊力が半端じゃないぞ…?
とにかくかわいい三つ編みの髪
照れ隠しのようにぶっきらぼうになってしまうが
それすらもあなたはお見通しだ
「ふーん?
そっかロウきゅんあなたが可愛すぎて
ツンツンだねぇ…?」
「いや別にそんなんじゃないし…」
やっぱり、あなたにはお見通しで
いやでも可愛すぎるのが悪い
「…ほら、早く行くぞ…」
「はいは〜い」
歩く速度はいつもよりもゆっくり
でも駅まで着いてしまうのは早い
「ふふ、いつぶりだろ〜ね、こんなの」
「いつかの任務ぶりじゃねぇ?」
「あれかw暗殺者だと思われたやつ」
「あーあなたもヤンキーだと思われてたあれか」
「…何年前?」
「多分1年ちょい?」
駅に着いて電車を待っていても
久しぶりだからか途切れることのない会話
【まもなく電車が参ります…】
「おー電車久しぶりすぎる!」
「…この時間人やばいんじゃね?」
「え私たち終わったじゃん」
あなたの言う私たち=陰キャ(俺)+チビあなた
満員電車には最悪のコンビ
「わ、人多くない…?」
案の定電車はぎゅうぎゅうで
背の低いあなたは押されてどこかへ行きそうに
「ちょあなたごめんな…」
「ん?…?!」
流石にはぐれたら危ないから…
なんて言い訳を心の中で唱えて
あなたを壁ドンするのような体制になる
「…ちょほんとさ…」
珍しく頬を赤らめているあなた。
もっと揶揄いたくなってきて
電車が大きく揺れたのをいいことに
あなたをぎゅっと抱きしめた
「わっ…」
困惑し、恥ずかしそうにする
腕の中の可愛い生物
「ロウ…」
「あ、ごめんな」
ゆっくりと腕を離せば茹でだこのような顔
これは事故……と言い聞かせているのがあまりにも
可愛すぎた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!