【まもなく、天体観測が始まります】
「おー!めっちゃ楽しみっ!」
そうやってウキウキしているあなた
俺はさっきのことが頭をぐるぐるしている
あなたに好きな人がいる…なんて
考えたくなかった
もし他の人だったら…?同期たちだったら…?
俺も弾みで言ってしまったが
変じゃなかったよな?
嫉妬と後悔がぐるぐる回る
隣にいるあなたの顔をチラリと覗けば
キラッキラの笑顔をしていた
…ほんと、こういうところが好きなんだよなぁ
何事にも精一杯取り組んでる
そんな姿に憧れて、いつの間にか恋していたんだ
…今日こそ、伝えられるだろうか
【まもなく、開演です!】
「お〜!!」
あなたが感嘆の声をあげたと思えば
空に輝く星たち
【冬は寒いですが、空気が澄んでいて
星が見やすいんです
雨上がりなんかは特に、ですよ!
今日は一年間の星を見ていきましょう!】
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
「っは〜!楽しかったぁ…」
「途中泣きそうだったよな、あなた」
「そうそう!神話でめっちゃ感動して…」
にっこにこで感想を話してくれて
ごめん、星よりあなた見てたなんて
言い出せそうにもない
「俺ちょトイレ行ってくるわ」
「んじゃ私ここいるね〜!」
サプライズのために
トイレに向かうフリをしながら
お土産屋さんに向かう
「すみませんっ!予約していた小柳ですっ…」
「あぁ、お待ちしていましたよ
はい、こちらです。」
中にはキラキラと輝くネックレス
「ふふ、彼女さんに渡すんですか?」
「あ…えっと…はい…」
「頑張ってくださいね!」
もう店員さんにもわかられるのか
たくさんの人から激励の言葉をもらい
俺は第一歩を踏み出した…
あなたが
最悪の状況に陥っていることも知らずに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!