第4話

もっと君を知りたい。(合宿の半分過ぎたとある日)
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2024/12/27 09:32 更新
眩しい日差しと木々の間から聞こえて来る蝉の声に清々しい程の青空が映えている、合宿の半分が過ぎた日ではあるが相変わらず体育館の熱気と部員達の掛け声は変わらない。
そんな中、烏野高校男子バレー部に所属している変人コンビである日向と影山が衝突をしており険悪なムードが流れていた。
日向と幼馴染である蒼來は心配していたが、彼女の前では嫌な顔を出さず変わらない態度で接してくれる。
日向翔陽
日向翔陽
蒼來〜!
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
うわっ!?
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
もう翔陽ったら、急に背中に飛びつかれたら困るよ
日向翔陽
日向翔陽
へへっ、いつもと変わらないだろ
日向翔陽
日向翔陽
それに、蒼來はちゃんと受け止めてくれるって知ってる
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
それは、そうだけど
仲睦まじい雰囲気が漂っている日向と蒼來、普通の幼馴染ならば背中に飛びつくと怒るはずなのだが何だかんだお互いを信頼しているのを離れた所から見ていた赤葦。
意外なライバルの出現に想い人である蒼來にどう距離を縮めようか考えていると、マネージャーである雀田と白福の会話が聞こえて来た。
雀田かおり
雀田かおり
あの二人って幼馴染なんでしょ
白福雪絵
白福雪絵
市瀬さんから聞いたけど、そうらしいね
雀田かおり
雀田かおり
何か、恋人みたい
白福雪絵
白福雪絵
確かに、あんなに引っ付いてる幼馴染なんて見た事ないかも
雀田かおり
雀田かおり
あれは、手強いライバルになるだろうね
白福雪絵
白福雪絵
うんうん、それは分かる!
赤葦京治
赤葦京治
(手強いライバルか)
赤葦京治
赤葦京治
(でも、日向からはそんな風には見えないけど)
そう思いながら未だにじゃれあっている二人を見詰めていると、此方の視線に気付いたのか日向が赤葦を見ると勝気な表情と笑みを浮かべた様子に赤葦の中で『負けたくない』という思いが芽生えた。
日向翔陽
日向翔陽
(蒼來は分かってないようだけど)
日向翔陽
日向翔陽
(俺の幼馴染を落とすのは、難攻不落っす!)
赤葦京治
赤葦京治
(日向って、もしかして市瀬さんの事を・・・)
赤葦京治
赤葦京治
(ライバルが居る程、負けず嫌いが強まるんだよなぁ)
離れた距離に居るのにお互いの視線は逸らされずバチバチと火花が散るように睨み合っている、そんな事を知らない蒼來は急に無言になった日向の視線の先に居る赤葦を見付けて小さく手を振るのだった。
練習が行われる中、日向と影山のコンビネーションが上手く行かず口喧嘩が度重なるのを見ていた蒼來は少しだけ寂しく感じていた。烏野高校男子バレー部に入ってからの日向は、中学の時より活き活きしててセッターとしての力をメキメキとつけているのを隣で見てきた蒼來は凄く嬉しかったのだ。
だが、今は日向と影山にとっては大事な時期なのかもしれないと思うと『喧嘩を止めて』なんて言えるはずもなくて見守るしかない。
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
(私には、日向と影山が大事なコンビだから喧嘩なんてして欲しくない)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
(でも、二人にとっては進化の時なんだろうなぁ)
そんな事を一人考えながら歩いていたからか、足元の小さな段差に気付かず足を引っ掛けてしまい持っていたカゴを落としてドリンクボトルを床にばら撒いてしまう。
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
あちゃ〜、また・・・
烏野のメンバー分のボトルが四方八方に転がってしまい蒼來は慌てて床に膝を着きながら拾っていると、少し遠くに転がったボトルを拾う掌に気付き視線を上げると赤葦が立っていた。
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
赤葦さん
赤葦京治
赤葦京治
市瀬さん、また転んだ?
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
あはは、考え事してると躓いちゃって
赤葦京治
赤葦京治
あまり、長く考えない方が良いと思うけど
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
分かってます、けど大事な幼馴染だから心配と言うか
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
たった一度の喧嘩でコンビを解消して欲しくないんです
赤葦京治
赤葦京治
市瀬さんって、日向の事が大事なんだね
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
小さい時からいつも一緒なので、皆からは距離感が近すぎってよく言われます
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
でも、日向の事は家族のように思えるので異性としての『好き』とは違いますかね
ボトルを拾う手を止めずに話す蒼來の声を聞いていると不意に零れた『異性としての好きとは違う』と言う言葉に、赤葦はハッとして蒼來の横顔を見詰めているとカゴにボトルが全部入り深い青色の瞳が不思議そうに見上げてきた。
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
どうかしましたか、赤葦さん?
赤葦京治
赤葦京治
その、俺の事は『異性』として見てくれるかな?
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
い、異性として?
赤葦京治
赤葦京治
俺は市瀬さんの事を『異性』として見てる
赤葦京治
赤葦京治
だから、俺の事を少しでも意識してくれたら良いんだけど・・・
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
・・・・・・っ!?////
最初は赤葦の言っている言葉の意味が分からず、思考が停止していたがゆっくり噛み砕くと意味が分かった瞬間に蒼來の頬は桃色に色付いた。アワアワと唇が震え何か言いたいのに言葉が見つからない蒼來は固まっていると、頬を赤らめた彼女の様子を見て嫌がられていないと感じた赤葦はそっと床に置かれている細い指先に指先を触れさせた。
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
赤、葦さん////
赤葦京治
赤葦京治
嫌だったら、逃げて貰って良いよ
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
その、嫌では・・・ないです////
赤葦京治
赤葦京治
っ・・・!!
赤葦京治
赤葦京治
触れてもいい?
赤葦の言葉に蒼來の胸はトクンと音を立てた、触れられるのは嫌では無い寧ろもっと近付いて彼の温もりを感じてみたいと思う程に心は赤葦に向いている事を改めて感じる蒼來。
言葉にするのが恥ずかしくて、蒼來は頭を上下に動かすとそれを肯定と受け取った赤葦の喉仏は音を鳴らしてすっと大きな掌が頬に伸ばされた。
恐る恐ると言ったように蒼來の表情を見詰めながら伸ばされた掌は、少し固くて熱い体温が伝わってきて蒼來の呼吸が上手く出来ない。
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
(恥ずかしい・・・それに赤葦さんも表情が硬い////)
赤葦京治
赤葦京治
(やばい、めちゃくちゃに柔らかい////)
お互いに心の中ではアワアワと緊張しまくっていてお互いの視線は合わないが、ふと赤葦の方を見ると表情が硬くなり口元を引き結んでいる様子に蒼來は目を見開く。
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
あの赤葦さん
赤葦京治
赤葦京治
どうかした?
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
嫌だったら、離れていいのですよ?
赤葦京治
赤葦京治
嫌って思う訳ない、だって・・・好きな子に触れているのに嫌だって思う男が居ると思う?
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
っ〜〜、赤葦さんってどうしてそんな事をサラッと言えるんですか!?////
赤葦京治
赤葦京治
市瀬さんの前だから、言えるかもしれないかな
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
(この人、意地悪だ////)
赤葦京治
赤葦京治
離れ難いけど、そろそろ戻らないと人が来るから
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
あ、そうですね////
頬から離れていく掌に名残惜しさを感じながら目で追っていると、不意に頭をポンポンと撫でられ受け入れていると赤葦が口を開いた。
赤葦京治
赤葦京治
市瀬さん
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
はい?
赤葦京治
赤葦京治
ここまでしておいて何だけど、明日の夜に時間ある?
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
ありますけど
赤葦京治
赤葦京治
その時にちゃんと伝えたい事があるんだ
赤葦京治
赤葦京治
だから、それまでに考えて欲しい。
俺の事をどう思っているか
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
(赤葦さんは優しい、ちゃんと考えてくれるんだ)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
はい、分かりました
赤葦京治
赤葦京治
ありがとう、市瀬さん
赤葦京治
赤葦京治
じゃあ、俺は先に行くから
市瀬蒼來(いちのせ そら)
市瀬蒼來(いちのせ そら)
拾ってくれてありがとうございました!
背中を向けて体育館ヘと戻る赤葦を見送りその場に残された蒼來は蹲ったまま動けずに居た、あの時に触れた赤葦の温もりがまだ頬に残っていて恥ずかしさと大きくなった想いを抑えるのに必死になった。
その数十分後、体育館に戻ってきた蒼來は隣のコートで試合をしている赤葦の姿に胸が音を立て早く明日になれと願うのだった。

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