第8話

隠れナルシストの体力テスト
28
2024/08/28 11:28 更新
……ああ、ついに地獄の時間が来てしまった。

そう、体力テストだ。

俺は運動がめっぽう苦手だ。

いくらナルシストの俺でも自惚れる余地がないほど苦手だ。

わかりやすく言うと、クラスに1人はいる「マラソンが飛び抜けて遅いので最後に1人でゼーハー言いながらクラス全員からの温かい応援を浴びる」というあのポジション。

それが俺だ。

マラソンに限らず、例えば投げたボールは必ず明後日の方向に飛んでいくし、水泳だって不格好なクロールで25m泳ぎ切るのがやっとだし、球技でラケットを持てば半分は空振りする。

クソッ、超絶天才イケメンの俺様がなんでこんなに運動できないんだよ……ってまたやっちまった。
先生
では、二人組を作りまーす。近くの人で適当に組んでくださーい
体育の先生は随分と緩い雰囲気だ。

近くの人と組めという話だから俺も近くの人を探す。

すると、早速声がかかった。
早乙女ハル
早乙女ハル
花幡、だったよな。ペア組もうぜ!
学級副委員長の早乙女だ。

ちょうど俺もペアを探していたところだし、ありがたく組ませてもらおう。
花幡ルカ
花幡ルカ
ああ、よろしくな
……しかし、こいつめちゃくちゃ運動神経良さそうなんだよな。

程よく筋肉付いてるし、日焼けもしているし。

俺の絶望的な運動神経を見られるの、ちょっと恥ずかしいんだが……。
先生
まずは上体起こしからやるよー。順番決めてー
早乙女ハル
早乙女ハル
どっちからやる?
花幡ルカ
花幡ルカ
別にどっちでも
早乙女ハル
早乙女ハル
じゃあ俺からでいい?
花幡ルカ
花幡ルカ
ああ
早乙女がマットの上に寝転んで、その足に俺が全体重を乗せて押さえる。
早乙女ハル
早乙女ハル
花幡、もっと全力で押さえてよ
しかし、早乙女は不満げにそう言った。
花幡ルカ
花幡ルカ
いや、思いっきり全体重乗せてるが?
早乙女ハル
早乙女ハル
……お前軽すぎね?
花幡ルカ
花幡ルカ
そうか?
俺様はスリムでスタイル抜群だからな……と言うわけにはいかず、とりあえずしらばっくれてみた。
早乙女ハル
早乙女ハル
ちゃんと食ってるか?
花幡ルカ
花幡ルカ
もちろん。晩飯のおかわりだってするぞ
早乙女ハル
早乙女ハル
マジかよ
花幡ルカ
花幡ルカ
俺は代謝がいいからな
早乙女ハル
早乙女ハル
うわっ、羨ましいぜ
花幡ルカ
花幡ルカ
……あ
ああああああああ!

やらかしたああああああ!

つい調子に乗ってしまった!

人より代謝がいいから太りにくい体質なのは本当だが!

これじゃあ「俺はいくら食べても太らないから☆」って言っているようなものじゃないか!

いい加減治れよ俺のナルシスト!
先生
はーい、じゃあ始めるよー。よーいスタート!
タイマーがスタートして、みんながそれぞれ上体起こしを始める。

案の定、早乙女はとんでもないスピードで上体起こしをしていた。

やっぱり運動得意なんだな。

実は腹筋バキバキだったりして。

結果。
花幡ルカ
花幡ルカ
……37回
早乙女ハル
早乙女ハル
っしゃあ! 記録更新!
バケモノかよ。

単純計算で1秒1回以上だぞ?

もう人間業じゃないって。
早乙女ハル
早乙女ハル
じゃあ次は花幡の番だな
花幡ルカ
花幡ルカ
あまり期待はするなよ
早乙女ハル
早乙女ハル
じゃあめっちゃ期待しとくわ
花幡ルカ
花幡ルカ
おい
先生
次の人準備してねー
俺は先生の声とともにマットに寝転び、大きく深呼吸をする。
先生
準備できたかな? よーいスタート!
当たり前だが、俺の上体起こしの起こしのスピードは早乙女とは全然比較にならないほど遅い。

おそらく早乙女の半分くらいだろう。

早速疲れてきて、どんどんペースが落ちていく。
早乙女ハル
早乙女ハル
頑張れ!
これでも頑張ってんだよ、俺は。

そう言い返すこともできないくらいに頑張ってんだよ。
先生
終了〜
花幡ルカ
花幡ルカ
っはあっ、はあっ、……
俺はマットに大の字に寝転んで大きく息をした。
早乙女ハル
早乙女ハル
……18。お前意外と運動苦手なんだな
花幡ルカ
花幡ルカ
はあっ、うっさいっ、はあっ、はあっ
早乙女ハル
早乙女ハル
確かに、見たところ脂肪もないけど筋肉もないもんな……
……ごもっとも。

超絶スマート体型の俺は脂肪が少ないが、運動してないから筋肉もないんだよな……って前半カット。


 体力テストはまだまだ続く。

これだけでも既に地獄なのに、これからどうなるんだろうな。

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