私は、旧国として意識を取り戻した後、しばらくゆっくり崩壊後の祖国で過ごした。
ロシア連邦。私の後継国家は、そう言うらしい。社会主義を捨て、民主的になり、人民達は歓喜に沸いているという。
…元々、私は国家として責務を果たしてきただけで、自分自身の意志で何かやったことはあまりなかった。
死んで自由になったから、一人の化身として、自分で考えて自分のやりたいことをやるのもいいかもしれない。
それで真っ先に浮かんだのは、アメリカへの旅行だった。
私に勝ったあいつの発展ぶりを見てみれば、何か学ぶことがあるかもしれない。
…あと、アメカスの失業率が高止まりしているらしいので是非とも煽りたい。
気持ち悪い…酔い止めを飲み忘れてしまった…
建物が高い…上京してきた地方の学生のような気持ちを抱きながらふらふらと街中を放浪する。今にも護衛とはぐれて、迷ってしまいそうだ。
※何でそんなピンポイントな日本的例えをソ連が言ってるんだ、というツッコミは受け付けないことにする。この小説はコメディ寄りで書いていることに留意しよう。
…しかし、何かと民衆の目線が気になる…。
いや…私はソビエト連邦の化身だし、文明的な生活をしている人間なら誰でも知ってるんだから、当然と言えば至極当然なのだが…そんなにじろじろ見られては落ち着けない。
…英語なのでよく分からないが、大方「なんでソ連がここに…」というようなことでこいつらはざわついているのだろう。
冗談を言っただけなのだが、民衆が怯えてしまった…
私が部下に無茶振りをして遊んでいると、人混みの中から一つの聞き慣れた声が聞こえてきた。
民衆のうちの一人が私を指差す。
少しオーバーな程に困惑しているアメリカを無視し、私はとりあえず挨拶代わりに服の中に仕込んでいたピストルを五発程撃った。
…すんなり避けられてしまった。残念だ。
※Q、避けたら民衆に当たるのでは?
A、大丈夫。民衆に当たらない位置関係で撃ってるから。建物が傷つくだけですわ。(Q、…駄目じゃん)
…これは…強制帰国させられそうな予感がする…














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。