第10話

寄り道
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2026/03/24 13:29 更新
そのあとの授業は、正直ほとんど覚えていない。
クラスメイト
さっきのすごかったな
小声で、そんなやり取りがあちこちから聞こえてきて——

気づけば、放課後になっていた。

すると、隣の曽野くんが、バッと立ち上がった。
曽野舜太
ねえ、このまま帰るのもったいなくない!?
吉田仁人
元気だな
少し呆れたように、吉田くんが呟く。
山中柔太朗
でも気持ちは分かるよ
私も少し名残惜しい気がしていた。

体育のリレーとドッジボール。どちらも、素晴らしい勝負だったから。
佐野勇斗
でも今日サッカー部は練習あるだろ?あんまり時間ないぜ?
塩﨑大智
俺もこの後部活
どうやら、吉田くんと私以外は部活があるらしい。

しかし、曽野くんは、想定通りというようににやりと笑う。
曽野舜太
麓のコンビニでお菓子買って、プチ祝勝会しようぜ!
それならいけるでしょ?
佐野勇斗
まぁたしかにそれなら大丈夫か。バスケ部は平気か?
塩﨑大智
それなら平気だと思う
山中柔太朗
いいね、それ。部活ない二人は?
吉田仁人
別に暇だからいいぞ
あなた
私も、特に予定ないし行けるよ
誰も反対する様子はなくて、自然と話はまとまっていく。
曽野舜太
よし決まりな!
曽野くんの一声で、私たちは一斉に鞄を手に取って、教室を出た。

下駄箱へ向かう途中も、校舎を出た後も、体育の時の話に夢中だった。
佐野勇斗
それにしてもあなたの下の名前ちゃん、足速いのな。俺より速いんじゃねえの?
あなた
さすがにそんなことないと思うよ?
私は笑って返す。
吉田仁人
少なくとも俺よりは速かったな
山中柔太朗
じんちゃんも、そこまで遅くないはずなんだけどね
曽野舜太
あなたの下の名前ちゃんも確かに速かったけどさ、まじで今日のだいちゃんかっこよすぎたって!
あれは女の子惚れちゃうよ
佐野勇斗
出た。小学校とかだと足速い人が謎にモテるやつね。
たしかに塩﨑くんは本当に速かった。まるで次元が違って見えた。
塩﨑大智
まじで今日調子良かったわ。昨日のケバブのおかげだわ。
山中柔太朗
ケバブってそんな効果あったんだ
吉田仁人
⋯俺もケバブ食おうかな
佐野勇斗
待て、おいちゃんの作るケバブは普通に気になる
曽野舜太
みんな揃ってツッコミを放棄しないで?
吉田くんの作るケバブは、たしかに気になる。

……料理できるのだろうか?
山中柔太朗
でもさ、ドッジもやばくなかった?
曽野舜太
わかる!最初のあなたの下の名前ちゃん、まじでやばかった
あなた
そんなに!?
佐野勇斗
女子から放たれるあの速度のボールは、普通にトラウマになるぞ
失礼な!と私は少しむくれた。

ただいつも通り全力で楽しんだだけだというのに。
塩﨑大智
みんな着いたよ
話しているうちに、気づけばコンビニの前まで来ていた。

見上げた先に、見慣れた看板が光っている。
佐野勇斗
おやつは300円までね!
塩﨑大智
先生、バナナはおやつに入るん?
吉田仁人
小学校の遠足かよ
曽野舜太
じゃあそれぞれで買って、この看板の下で集合で!
山中柔太朗
おっけー
あなた
りょうかい!
自動ドアが開いて、冷たい空気が流れ出てくる。

私たちは、そのまま店内に入っていった。

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