そのあとの授業は、正直ほとんど覚えていない。
小声で、そんなやり取りがあちこちから聞こえてきて——
気づけば、放課後になっていた。
すると、隣の曽野くんが、バッと立ち上がった。
少し呆れたように、吉田くんが呟く。
私も少し名残惜しい気がしていた。
体育のリレーとドッジボール。どちらも、素晴らしい勝負だったから。
どうやら、吉田くんと私以外は部活があるらしい。
しかし、曽野くんは、想定通りというようににやりと笑う。
誰も反対する様子はなくて、自然と話はまとまっていく。
曽野くんの一声で、私たちは一斉に鞄を手に取って、教室を出た。
下駄箱へ向かう途中も、校舎を出た後も、体育の時の話に夢中だった。
私は笑って返す。
たしかに塩﨑くんは本当に速かった。まるで次元が違って見えた。
吉田くんの作るケバブは、たしかに気になる。
……料理できるのだろうか?
失礼な!と私は少しむくれた。
ただいつも通り全力で楽しんだだけだというのに。
話しているうちに、気づけばコンビニの前まで来ていた。
見上げた先に、見慣れた看板が光っている。
自動ドアが開いて、冷たい空気が流れ出てくる。
私たちは、そのまま店内に入っていった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!