湊に、加賀美社長が家に行くことを連絡する
返事は「わかった」
だけ
…帰るの遅くなったし、嫌だったかなぁ
やっぱり不機嫌そうだなぁ…w
笑い事じゃないでしょ!!!
そう言い、玄関の扉を開けて俺の家から出ていった
さっきの不機嫌にさらに磨きがかかったような表情の湊
これは食い下がらないやつだな
…ちゃんと隅々まで言わないと分からないよなぁ
一瞬にして玄関の空気が凍りつく
湊がどんどん質問をしていく
…答える隙がないぐらい
ちゃんと“何もされてない”って言っているのに、聞いていない湊に腹が立った
湊が怒って、
それで俺も逆ギレしちゃって、
小さな声で悪口を言ってしまった
運が悪かったのか、自業自得なのか、、、
それは湊の耳にも聞こえてしまった
湊が急にこっちに歩み寄ってきて、急に俺の腕を掴んで拘束して、無理やりキスをしようとしたのか、顔が近くなってきた
…山内先輩みたいに
ドンっっ、!
山内先輩にされたことがフラッシュバックして、湊を突き放してしまった
驚いた表情をしている湊を見ると、罪悪感がたくさん湧いてきて、
段々と視界がぼやけてきた
やばい、止まらない
止めなきゃいけないのに
このままじゃ勘違いされたままなんだよ
きちんと話さなきゃ
流石の湊も焦って、俺に手を伸ばしてきた
でも、俺はそれも怖いって思ってしまって…
しゃがみ込んで、思い切り目を瞑ってしまった、
湊と出会って、初めて拒絶をしてしまった
湊も俺にこんなにも拒絶をされたのは初めてだからか、棒立ち状態
目を瞑っていても涙は止まらなくて、湊は黙り込んでしまっているから、その場には俺が泣いている音しかなかった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。