第20話

スイカ割り side藍
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2026/09/19 01:59 更新
青い海、白い雲、照りつける太陽はギラギラと輝き、
勢いよく吹き抜ける潮風が目に染みる。
空と海との境界線なんて分からなくて、ただひたすらに走り出したくなってしまう。そんな気分。
みんなは暑い暑い、なんて言ってもうバテ始めているけれど、俺のワクワクは最高潮だ。


胸いっぱいに吸い込んだしょっぱい空気を思いっきり吐き出して、それと同時に俺は天を仰ぐ。
桃井 藍
桃井 藍
うっみだぁ────────っっっ!!!!!
天野 琥沙
天野 琥沙
あづぃいいい⋯⋯⋯
こさめが溶けるぅうぅ〜⋯
緑園 寿千
緑園 寿千
⋯⋯ッスゥーいやぁ、舐めてたね、夏の海を。
黄河 深珠
黄河 深珠
うわぁ!キラッキラやでなっちゃん!
あっ!あっちに屋台みたいなんある!
赤暇 奈津
赤暇 奈津
待て待てみこと!まずは水着に着替える!
目についたものにとりあえず走り出そうとしているみことをなつが捕まえている。
こうしてみると母と子のようだな、なんて、
なつに知られたらボコボコにされそうだ。
紫藤 伊琉
紫藤 伊琉
暑⋯⋯あーまぁとりあえず、
全員着替えたらパラソル建てようまず。
じゃ、着替え室出たとこで集合な!
そう早口で言い切ったいるまがダッシュする。
⋯⋯あ!着替え室にはエアコンついてるからってこと!?
あいつズルくない?!
遅れて意図に気づいた俺たちも慌てて着替え室に走り、余計に汗をかいたのは余談だ。
そうしてささっとパラソル(日陰)を建てた俺たちは、
いるすちこさは完全にバテていたから来なかったが、
俺となつとみことの三人で水をかけ合ったりビーチバレーしたりして、海を楽しんだ。
桃井 藍
桃井 藍
⋯⋯あ、こさめ遅かったね
天野 琥沙
天野 琥沙
ごめんごめん!
トイレどこか分かんなくって
桃井 藍
桃井 藍
(...?こさめ、顔赤い?)
赤暇 奈津
赤暇 奈津
⋯⋯それで結局俺に聞いてきたもんな
天野 琥沙
天野 琥沙
だってなつくんがたまたまいたから〜
黄河 深珠
黄河 深珠
確かに、ここめちゃめちゃ広いもんなぁ!
紫藤 伊琉
紫藤 伊琉
⋯⋯ま、全員戻ってきたし、
お待ちかねの、行きますか!
テーブルにドンッ!と置かれたのはリュックサック。
今朝集合した時からいるまが背負っていたものだ。
めちゃくちゃパンパンに膨れていて、
全員何が入っているのかと気になっていた。
でも、聞かれてもずっといるまは返答を濁していた。
⋯⋯⋯いやまぁ、俺は中身知ってるんだけど。
そのリュックが出てきたのだから皆驚いた顔をする。
緑園 寿千
緑園 寿千
す、すごい音だね⋯⋯
本当に何が入ってるのこれ?
紫藤 伊琉
紫藤 伊琉
ふっふっふ⋯⋯コレだっっ!!
楽しそうな掛け声でいるまがリュックを開ける。
そこにあったのは⋯⋯
黄河 深珠
黄河 深珠
うわあっ!スイカやぁっ!!
紫藤 伊琉
紫藤 伊琉
海といえば⋯⋯もちろんやるよな?
『スイカ割り』!!
緑園 寿千
緑園 寿千
⋯⋯⋯ねぇ、いるまちゃん。
もしかしてだけど、悪意ある?
⋯あ、そういや、すちって自認スイカだったな。
無い無い、と半笑いで言ういるまの言葉が本当か、
俺たちには分からないが、多分いるまのことだし
悪意はないけどイジってはいるだろうなと思う。
天野 琥沙
天野 琥沙
にしても、こんな大きいスイカにする意味あった?
絶対持ってくるのしんどかったでしょ
紫藤 伊琉
紫藤 伊琉
いや、スイカどんなのが良いかってらんに聞いたら、とりあえず一番デカいの買えば?って言われて
桃井 藍
桃井 藍
いや俺だってスイカの良し悪しなんか分かんないからね!?
急に電話かかってきてなんだと思ったら
甘いスイカの見分け方聞かれた時の俺の気持ちよ⋯⋯
紫藤 伊琉
紫藤 伊琉
それでとりあえず売ってたやつで一番デカいのにした。
いや、ま〜じで重かった
赤暇 奈津
赤暇 奈津
何キロくらいやったん?
紫藤 伊琉
紫藤 伊琉
分かんねぇけど多分⋯⋯7、8キロくらい?
黄河 深珠
黄河 深珠
おっも!?いるまくんよく背負って来れたね?
紫藤 伊琉
紫藤 伊琉
死ぬかと思った
桃井 藍
桃井 藍
が、頑張ったね?
確かに大きいのが良いと言ったのは俺だけど、
まさかそんなに大きいのが売ってるとは知らなかったし
流石に負担なく運べるサイズを選ぶと思っていたんだ。
だからこれは俺のせいでは……ないよね?
天野 琥沙
天野 琥沙
じゃあやろっか!
スイカ割りっ!!
桃井 藍
桃井 藍
誰がやるー?
赤暇 奈津
赤暇 奈津
まぁみことか。
黄河 深珠
黄河 深珠
⋯⋯うぇ?!なんでおれぇ!?
天野 琥沙
天野 琥沙
あーww確かにな?
みこちゃんスイカ割り上手そうやもんな?
黄河 深珠
黄河 深珠
スイカ割り上手そうって何?!
そんなんないって!
桃井 藍
桃井 藍
みこと、右右!!
黄河 深珠
黄河 深珠
うぇこっちぃ?
俺の声に反応して、目隠しを着け、棒を持ったみことはへっぴり腰で歩き出す。
⋯⋯全く見当違いな方向へ。
赤暇 奈津
赤暇 奈津
そっちは海だバカ!戻れ戻れ!
黄河 深珠
黄河 深珠
えぇ?じゃあこっち?
緑園 寿千
緑園 寿千
みことちゃん、そっちは反対だねぇ
黄河 深珠
黄河 深珠
えぇー?!
もー分からへんってぇ!
天野 琥沙
天野 琥沙
だいじょぶだいじょぶ!
クルッと回って真っ直ぐ進めばいいから!
黄河 深珠
黄河 深珠
ん〜クルッと回って⋯⋯進む!
こさめの助言通り、その場で回れ右をしたみことは足を踏み出す。
ただ、みことにとって誤算だったのは、180°回転したつもりで、90°しか回転していないのに気付かなかったことだろう。


バッチャーン!!
紫藤 伊琉
紫藤 伊琉
残念、海 ♪
心底楽しそうないるまの声がする。
うーん、悪魔かな?
黄河 深珠
黄河 深珠
ゆ、言うてよぉおお!!
目の見えない状態で海に入ったせいで
しっかり波に足を取られ、すっ転んだみことの、
悲しい叫び声がこだました。

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