第18話

腰痛と後輩たちと、止まらない笑い
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2025/09/21 01:24 更新
廊下を歩くだけで、身体のあちこちが悲鳴を上げる。

腕は重く、膝は笑い、腰は鈍痛。モップも雑巾ももう片付けたはずなのに、まだ肩に重さがぶら下がっているような錯覚に襲われる。
エンジン
なあ
エンジンがぼそりと声を漏らした。傘を肩に担いでいるが、その歩き方はどう見ても老人だ。
あなた
何?
エンジン
腰に、きた
あなた
私も
二人して同時に立ち止まり、そっと腰を押さえる。まるで戦場から帰還した兵士みたいに、どちらも姿勢を真っ直ぐに保てない。
エンジン
年取ったかもな
エンジンが天井を見上げるようにして言う。
あなた
誰がよ。まだ私たち、二十代でしょ
エンジン
いや、心はもう六十代くらい
あなた
なら私は七十代ね
エンジン
勝手に上行くなよ
そんなくだらない掛け合いをしているうちに、少しだけ足が軽くなった気がした。笑うと、不思議と疲れがまぎれる。



けれど、足取りはまだ重い。廊下をずるずる歩いて、食堂の扉を押し開けた瞬間。
リヨウ
おっ!
真っ先に声をあげたのはリヨウだった。

テーブルに足を乗せて、パンをかじりながらこちらを見ている。口元にパン屑をつけたまま、目をきらきらさせて笑った。
リヨウ
帰ってきたな、戦士たち!
あなた
誰が戦士よ
私は額に張り付いた髪を乱暴にかき上げて、椅子に腰を下ろす。

あまりの疲労で、椅子に吸い込まれるように沈み込んだ。



ザンカもこちらを見て、腕を組みながら呆れたように言う。
ザンカ
何でそんな必死に雑用やっとったんじゃ
あなた
必死って、やらされたのよ
私が抗議すると、エンジンが椅子に腰をずり落とすようにして座り込み、傘をだらりと床に預けた。
エンジン
斑獣より強敵だったな、あの埃
ザンカ
埃に負ける掃除屋なんておるか
と言い、ザンカが眉を寄せる。

リヨウは、テーブルを叩きながら大笑いだ。
リヨウ
ははっ!でも想像できるなぁ、あなたの下の名前が真剣に雑用やってる横でエンジンがサボってるの
エンジン
サボってねぇ。心で応援してただけだ
あなた
それをサボってるって言うのよ
私の突っ込みに、リヨウはさらに爆笑する。椅子から転げ落ちそうになりながら、涙を拭っていた。



ザンカは溜め息をひとつ吐き、けれどふと私とエンジンを見比べて、少し柔らかい声で言った。
ザンカ
まあ、なんか、仲ええの
あなた
よくない
エンジン
よくはねえな
私とエンジンの声がぴったり重なった。

食堂に響いたその瞬間、リヨウが机を叩きすぎてパンを落とすほど大笑いした。
リヨウ
今の声ハモった。完璧に!仲良しすぎるだろ!
あなた
笑いすぎよ
私は呆れながらも、少し頬が熱くなるのを感じた。



エンジンはパンをつまみ、ぼそっと言った。
エンジン
まぁ、悪くはなかったけどな。雑用
あなた
私は二度とごめんよ
エンジン
言っとけ。どうせまた押し付けられる
あなた
絶対やらない
エンジン
絶対やることになるって
言い合いながらパンを噛みちぎるエンジン。リヨウとザンカの笑い声が混ざって、食堂はあっという間に騒がしくなった。



雑用のあとに残ったのは、腰の痛みと、どうしようもない程の、くだらない笑いだった。

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