前の話
一覧へ
次の話

第4話

chapter
67
2026/01/05 09:32 更新












あなた
   ふぃ〜、終わった..   








窓の外が黄昏色に染まる頃。







頼まれていた仕事が終わり、



その疲れを癒す様に伸びをする。







あなた
   (あ、降谷さんの机に持っていかなきゃ)   








纏めた資料を手に取るが、

中々腰は上がってくれない。





それもそうだろう。





この仕事を私に任せた当の本人、降谷さんは



もうとっくに現場から帰って来ており

自分のデスクでパソコンと睨めっこしている。







あなた
   (行きずら、..)   








ただの喫茶店員だと思っていた相手が

まさかの公安警察の警部だなんて誰が想像できたか。







喉が詰まり、また涙が出そうになる。




公安警察が、たかが恋愛如きで傷心し

こうして仕事に支障をきたしている

なんて知られたら、


お咎めも超えて呆れられるだろうな。












   __ね、帷さんもせっかくなのでどうですか?   
あなた
   っえ、?   









不意に名前を呼ばれ、思わず顔が上がる。







あなた
   すみません、聞いていなくて、..   
   今夜の飲み会、帷さんもどうですかって。   
あなた
   え、飲み会...?   
   折角ですし、親睦会も兼ねて!   
あなた
   あ、そっか、   
あなた
   (今日、金曜日だ..)   








意識を会話に向けると、

やっと周りが少々ザワついているのに気が付いた。







気付けば定時も過ぎていたらしい。




仕事を終わらせた人達が今夜の飲み会について

会話を弾ませていた。







   ね、帷さんもどうですか?   
   今夜予定とかないですかね   
あなた
   あ、ない..です。   
あなた
   是非参加させて下さい。   
   ありがとうございます!   
   これで10人?もう6人くらいは欲しいよな   
   んな集めて何したいんだよ   








笑顔にお礼を言った先輩は、

元いた人の元へと帰っていく。







あなた
   (流れで飲み会行く事になっちゃった、)   
あなた
   どうしようかな   










降谷
   何がどうしようなんだ?   
あなた
   っはぃ!?   
降谷
   するべき事もせずに
飲み会の話なんてなってないな。
あなた
   す、すみません!   








焦って謝る私に目もくれず、

手に持っていた資料を取り上げる降谷さん。







降谷
   .....出来てるじゃないか。   
降谷
   終わったならすぐ報告しろ。   
あなた
   はい、すみません...   
降谷
   んじゃ、お疲れ様。   
あなた
   おっ、お疲れ様でした   
降谷
   季節の変わり目、
体調管理には気を付けること。
あなた
   はいっ、肝に銘じておきます、   








パラパラと私から受け取った資料を捲りながら、

自分のデスクへと戻って行った。












   じゃあ、帷さん
21時にここの居酒屋ね。
あなた
   はい   


あなた
   あの、..降谷さんは来ないんですか   
   米花町内の居酒屋だから、
安室さんとしての知り合いに
会うのを避けないといけないからね。
   そもそも、県外の居酒屋でも
安室さんの知り合いは多いからなあ

   だから、降谷さんって飲み会自体   
参加する事滅多にないんだよ








考えれば分かる事なのに、

思わず聞いてしまった。







降谷さんが飲み会に参加しないことも

分かっていたはずなのに


心のどこかで浮ついた考えをしていたんだ、きっと。







あなた
   (だから、こんな事考えてんのは   
ダメでしょって、...)








いた溜息が誰にもバレない様に、

両手で顔を覆った。







プリ小説オーディオドラマ