szk side
どのくらい走っただろうか。
もう霧矢の姿は見えない。がむしゃらに走ったから自分がどこにいるかも分からない。
こんな体で全力疾走なんてしなきゃよかった。
あまりの息苦しさに、その場に倒れ込むようにして地面に手をつく。
周りには何も無い森の中。
疲れが限界まで達し、崩れるようにして地面に倒れ込んだ。
自分が嫌で仕方がない。
なんで、
優しさを素直に受け取れないのか。
自分の都合で逃げてしまったのか。
霧矢がしてくれたことをまともに返せないのか。
何をどれだけ考えようが、胸の痛みは僕を悲しませるだけだった。
いつか別れてしまうのなら、自分から嫌われて離れた方がマシだと思った。
でも、全然マシじゃなかった。
ありえないほどの後悔と悲しさが押し寄せてくる。
こんな別れ嫌だなんて、自分でやった癖に。
どこかも分からない森の深くでただ1人。
帰り方なんて知らないし、帰る気もない。
僕を気遣ってくれたのに、優しくしてくれたのに。
怖くなって逃げてしまった。
僕はなんて弱いんだろう。
ただ何も無い空を見上げて、泣くことしか出来なかった。
脇腹あたりに嫌な感覚がした。
やっぱり。
いつもより激しい痛みに襲われる。
でも何も持っていないから、ただひたすらに耐える以外なかった。
kry side
そういうと走り去ってしまった鈴木ちゃん。
俺はその背中をただ見つめることしかできなかった。
なんで?突然すぎる。
「苦しかった」「ごめんね」「ありがとう」なんか言って。
こんな森の中、きっと鈴木ちゃんは自分でもどこか分からない場所にいると思う。
鈴木ちゃんが走って行くのを、俺はただ呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。
あまりの衝撃で、身体が動かなかった。
でも鈴木ちゃんを1人にしたくない。
鈴木ちゃんが走って行った方向へと走る。
どれだけ呼んでも返事なんか返ってくるわけもなく、ひたすらに走り続ける。
鈴木ちゃんは、探されることを望んでないかもしれない。
でも、あんな辛そうな顔で去られて、あぁはい。で流せるわけないじゃん。
あんな別れで納得できるわけが無い。しっかり理由を聞き出したい。
長いこと走ったけど、鈴木ちゃんは見つからない。
それでも足は止められなかった。
ガサッ
どこからか、音が聞こてくる。
すぐさま動きを止め、音がする方を向く。
そこには地面に横たわる鈴木ちゃんが居た。
鈴木ちゃんを見つめると、辛そうな表情で見つめ返してくる。
そう言って、薬と水を差し出す。
少しの間その手を見つめて考えたあと、震える手で受け取って飲んでくれた。
そう笑いながら言ってきたが、その笑顔はとてもぎこちなく本心を隠しきれてなかった。
霧鈴に












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。