第3話

消えない
30
2023/03/20 12:07 更新
呆然と立ち尽くして少し時間が経ってから

この女性は自分の母親で

この赤黒い液体は血で

床に落ちている刃物で刺されて

生気がないのではなくてもう事切れているということを理解した

悠
悠
うあぁぁあ!!
いやだ、やめてくれ!

おねがい、おねがいします……
僕は大粒の涙を流しながら叫んだ

この状況を受け入れたくない

目を閉じても瞼の裏に張り付いてくる

見えないふりをすることができない

いつもそうだ
現実はいつまでも迫ってくる
消えることなどなく僕が生きている限りずーっと
悠
悠
僕はこれからどうすればいいんだよ……
生き甲斐なんてあるわけがない
なんで僕から奪うんだ!
もう、こんなことなら死んでやる

そう思えたらよかったのに

僕にはそんな勇気もない、クラスメイトにすら奴隷のように扱われている僕が自殺なんてできるわけがない





その日は一晩中ボーッとして一睡もできなかった


もう涙も出なかった

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