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第12話

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2021/11/14 11:20 更新















 お嬢を車に乗せて 、

 俺は執事として 最後の仕事 をやり遂げる 。

 見覚えのある街 、ビル 、公園 、色んなお店 …

 すべてを目に焼き付けるようにゆっくり車を走らせた 。







 『 … お嬢 、着きましたよ 。 』

 「 そう 。 」

 『 今日は別件があるのでここでお別れです 。 』







 なんて言ってるけど 、別件なんてある訳もなく 、

 理由はただ単に俺が離れたく無くなっちゃうから 。







 車から降りてお嬢をエスコートする事はしない 。

 だから 、運転席からのお別れだ 。

 俺のわがままだけど許してね 。







 『 ちゃんと寝るんですよ !

   あとご飯もしっかり食べて 、適度に運動もして 、

   勿論勉強も 、 あとそれから … 』

 「 うるさいわね 、分かってるわよ 。 」

 『 なら良いんですけど … 』

 「 なに ? お節介ならもう帰るんだけど 」







 呆れてるように見えて下を向いているから

 きっとまた泣くのを我慢しているんだろう 。







 お願いだから泣かないでお嬢 。

 もう俺はその涙を拭ってあげられないんだから 。

 そう考えると俺も泣きそうになってきたよ 、

 どうしてくれんのお嬢 。







 やっぱり俺たちも笑顔でお別れなんて無理みたい 。








 でもこのままじゃお互いの為にならないから

 深呼吸をひとつした後俺は覚悟を決め 、







 『 ばいばいお嬢 。幸せになるんだよ 。 』







 それだけ残してアクセルを踏み込んだ 。






 最後に聞こえるか分からないくらい

 小さな声で言った言葉聞こえちゃったかな ?

 ちらっとルームミラーを覗くと 、

 崩れ落ちてくお嬢の姿が見えたからきっと聞こえたのか 。








 『 あなた、好きだったよ 。 』








 お嬢を名前呼びしたのは出会ったあの日以来だった 。

 最後に呼ぶなんて我ながら狡いな 。

 でも許してね 。多分許してくれないんだろうけど 。







 『 好きになってごめんなお嬢 。』







 俺の目からひとつ涙が落ちた 。









 それから数日後 、

 お嬢と某有名財閥の跡取りが婚約を発表した 。














end.

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