お嬢を車に乗せて 、
俺は執事として 最後の仕事 をやり遂げる 。
見覚えのある街 、ビル 、公園 、色んなお店 …
すべてを目に焼き付けるようにゆっくり車を走らせた 。
『 … お嬢 、着きましたよ 。 』
「 そう 。 」
『 今日は別件があるのでここでお別れです 。 』
なんて言ってるけど 、別件なんてある訳もなく 、
理由はただ単に俺が離れたく無くなっちゃうから 。
車から降りてお嬢をエスコートする事はしない 。
だから 、運転席からのお別れだ 。
俺のわがままだけど許してね 。
『 ちゃんと寝るんですよ !
あとご飯もしっかり食べて 、適度に運動もして 、
勿論勉強も 、 あとそれから … 』
「 うるさいわね 、分かってるわよ 。 」
『 なら良いんですけど … 』
「 なに ? お節介ならもう帰るんだけど 」
呆れてるように見えて下を向いているから
きっとまた泣くのを我慢しているんだろう 。
お願いだから泣かないでお嬢 。
もう俺はその涙を拭ってあげられないんだから 。
そう考えると俺も泣きそうになってきたよ 、
どうしてくれんのお嬢 。
やっぱり俺たちも笑顔でお別れなんて無理みたい 。
でもこのままじゃお互いの為にならないから
深呼吸をひとつした後俺は覚悟を決め 、
『 ばいばいお嬢 。幸せになるんだよ 。 』
それだけ残してアクセルを踏み込んだ 。
最後に聞こえるか分からないくらい
小さな声で言った言葉聞こえちゃったかな ?
ちらっとルームミラーを覗くと 、
崩れ落ちてくお嬢の姿が見えたからきっと聞こえたのか 。
『 あなた、好きだったよ 。 』
お嬢を名前呼びしたのは出会ったあの日以来だった 。
最後に呼ぶなんて我ながら狡いな 。
でも許してね 。多分許してくれないんだろうけど 。
『 好きになってごめんなお嬢 。』
俺の目からひとつ涙が落ちた 。
それから数日後 、
お嬢と某有名財閥の跡取りが婚約を発表した 。
end.












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。