「 どこに行くつもり? 」
なんて少し怒った様子のお嬢 。
その理由は俺なんだけどね 。
今どんな状況かって言うと 、
行き先も告げずお嬢を車に乗せて高速道路を走行中 。
こんなことするなんて初めてだから
お嬢も少し俺を警戒しているように見える 。
でも行き先を教える気は無いから 、
聞こえないふりをしてアクセルを踏み込んだ 。
真夜中なのもあってこの車に流れているのは 、
風の音という名のBGMのみ 。
その風でたなびくお嬢の長く美しい髪が俺を妖しく誘う 。
それはまるで夜がかけた魔法のよう 。
_______どうか今だけは解けないで 。
「 え 、ここって … 」
たどり着いたのはとある公園 。
でもただの公園なんかじゃなくて 、
俺たちの思い出が詰まっている大切な公園だ 。
そう 、" 俺たちが出会った場所 " 。
その頃はまだ一般人だった俺が公園に遊びに行った時 、
1人で泣いていたお嬢に俺は声をかけたんだ 。
それと同時に俺の初恋も奪われた 。
おそらく一目惚れだろう 。
泣いてるお嬢から目が離せなかった 。
悲しげな表情を浮かべ涙を流す君がどこか儚かったから 。
そして何故か俺がこの子を守らなきゃって
幼いながらに思ったんだ 。
今思えば 、この時から俺たちの時計の針は
動き出していたのかもしれない 。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!