第21話

嬉しい日
183
2024/04/03 09:00
優星side

咲楽が僕の言葉で笑ってくれた。

少し泣いているようにも見えたけど、嬉しそうに「ありがとう」って言ってくれた。

「私も願ってみる」とも言ってくれた。

可愛かったな、笑顔。
なんて浮かれた気分で病院を出ると、青空が眩しかった。

本当はもう少し咲楽といたかったけど、マネージャーの裕史さんから、事務所に来るように言われた。

その瞬間、心に雲がかかる。
1人だけ呼び出されるということは、仕事の話だとは考えにくい。

とすると、何か怒られるのだろうか。

1番可能性があるのは、咲楽の病院に通っていることを知られたことだろう。

もし会うなと言われたらどうしよう……なんて、かなり怖がりながら事務所に行った。

裕史さんがいる部屋にノックして入る。
高橋 裕史
お、優星、待ってたよ!

語尾にビックリマークの着きそうなテンションの裕史さんがいて、拍子抜けする。
高橋 裕史
新曲について、この前のYOUSUKEさんと話してたらさ。
石倉 優星
はい。
高橋 裕史
優星が自分で作曲やってるって聞いて。
石倉 優星
……はい。
高橋 裕史
で、次の曲は、優星が作ってる曲でいこうかな、と思うんだけど……。
石倉 優星
え!いいんですか?

とりあえず、今できている2番までの曲と、仮に書いた歌詞を渡す。

裕史さんが聞いている間に、咲楽に「僕の曲が歌われることになりそう!」とメッセージを送った。

すぐに既読が着いて、「優星くん頑張ってたもんね」という返事とともに、可愛いうさぎが喜んでいるスタンプが送られてきた。

「咲楽のおかげだよ、ありがとう!」

その後何言かやり取りをして、メッセージアプリを閉じると、ちょうど裕史さんが聞き終えた。

大絶賛してくれて、すごいすごいと何故か頭を撫でられた。
すごく嬉しい日だった。

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