看護師さんは祖母と何かを話していた。
でもまだ俺は話の内容を理解出来ていなかった。
俺は祖母に連れられて歩く。
病室の前にたつと俺は祖母の顔を見た。
祖母は少し緊張したような表情だった。
不安になった俺はそう話しかけると祖母は微笑んで“行こうか。”と言った。
祖母がゆっくりと扉を開けるとベッドには母が横たわっていた。頭には包帯が巻かれていて幼い俺でも大変なことがあったことはわかった。母の横には医師がたっていた。先生は俺たちに気づくと会釈をした。祖母も会釈をする。
少しの間があったあと先生は口を開く。
祖母の表情はどんどん暗くなっていく。
祖母はぎゅっと俺の手を握りしめる。
不安や悲しみが祖母の手から伝わってきた。
ただ、俺はずっと疑問に思っていたことがあった。
そういうと一気に空気が重くなったような気がした。幼い俺でもわかるぐらい。
祖母は口を手で抑え、膝から崩れ落ちた。
目からは涙が流れていた。
それを見た俺はとても不安になった。
祖母の肩を俺はゆすっていると先生が俺の背に合わせ屈んで言った。
俺がそう尋ねると先生はゆっくりと首を振った。
俺の目からぼろぼろと涙がこぼれ落ちた。
先生は何も言わず優しく俺の頭を撫でてくれた。
祖母は俺をぎゅっと抱きしめてくれた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。