気づくと俺は
電車の中にいた
車窓から見える景色は
とても暗くて
雪が少し積もっている
電灯も少ない外の景色の暗がりに
自分の心臓の鼓動が
合わさって、なんとも言えない
不気味さを感じ取っている
彼女と俺は、
隣同士に座っている
俺の表情からは
何も読み取れない
何も描かれていない仮面を
その表情に着けたようだった
少しの静寂が電車を満たす
彼女の顔は、いつ見ても
安心する
俺も少し顔色に
生気が戻ってきたようだ
俺は少し微笑みをきかせた笑みで
その言葉を迎えた
彼女はそれに
同じような笑顔で応えた
線路内に居る俺は、
この俺を目で捉えてるように感じる
憎悪
その感情によって
黒く染め上げられたのだと
錯覚するほどに漆黒を示す
俺の瞳は、ずっとこちらを
見つめていた
あの電車
アレ
これは現実だと、
薄々自分も理解してきたはずだったが
一つ理解できないのは
その行動理由だ
いわゆる動機を持っていない
その動機を知ってしまったが最後
俺は、俺自身へと収束し、
そのまま死ぬことになるのだろう
俺は最早、何も発声を
行わないようになっていた
もうほとほと、
言うべきセリフを、
言い終わったんだろう
俺の意識は迫り来る電車を前にして
次の幻へ、手をかける














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。