第27話

三度目の捜索
103
2021/09/16 11:36 更新
莉子たちと作戦をりながら歩いていたら、駅に着いた。

ホームは、やはり人でごった返している。
裕太
裕太
よぉしみんな! 手分けして生身なまみのリコを探そう!
僕たちは、ほうぼうに散って莉子を探し始めた。

なんとしても、あの不審ふしんなサラリーマンより先に莉子を見つけないと。
莉子C
莉子C
あっ! いました!
さっそく莉子Cが見つけてくれたようだ。

他の莉子たちもわらわらと集まってきた。

急いで彼女の指差す方向に向かう。


いた!

見慣れたツインテールの後ろ姿が10メートルくらい向こうに立っている。


人ごみをかきわけながら莉子のほうへ進む。

思うように近づいていけないのが腹立たしい。
莉子D
莉子D
あ! 裕太さん! アイツが来ましたわ!
莉子Dが叫んだ。

見ると例のサラリーマンが莉子に近づいていくところだった。

手にはすでにナイフを持っている。

まわりの人も、男が持っている刃物に気がついたようだ。
乗車待ちの客
うおっ、なんだコイツ危ねっ……
僕は乗車待ちの人たちを押しのけて、莉子のほうへと急いだ。
裕太
裕太
どいて、どいてください!
そして、無理やり莉子と不審者の間に割り込んだ。
不審なサラリーマン
不審なサラリーマン
どけ! なんだお前は!
裕太
裕太
嫌だ! この子に何をするつもりだ!
不審なサラリーマン
不審なサラリーマン
復讐だふくしゅう! 復讐なんだよ!
男がわめきちらしながら刃物を振り回す。

男の周りから、しおが引くように人がいなくなった。
莉子
莉子
……え? え?
生身の莉子は、混乱した様子で棒立ぼうだちになっている。

僕は男に話しかけた。
裕太
裕太
何だよ! 何の復讐なんだよ?
不審なサラリーマン
不審なサラリーマン
お前には関係ない! ケガしたくなかったら、そこをどけ!
裕太
裕太
どかないよ。僕は、絶対にどかない……
不審なサラリーマン
不審なサラリーマン
わかった。じゃあ、お前から先に殺してやる!
男は、ナイフのを両手で持って体の正面に構えた。

このまま僕の方に突進とっしんしてくるつもりだろう。
裕太
裕太
あれっ!?
僕は、大げさに驚いたような声を出し、あらぬ方向を指さした。
裕太
裕太
ああーっ!? あれは!
男も勢いいきおに押され、そっちの方に目をやる。

そこには……
莉子Z
莉子Z
じゃじゃぁーん!!
突然ターゲットと瓜二うりふたつの人物が別の方向から現れたことで、男がうろたえる。

男は二人を見比みくらべて、間の抜けた声を出した。
不審なサラリーマン
不審なサラリーマン
ふぇっ!? ええっ……!?
悪乗わるのりした莉子Zが、邪悪じゃあくみを顔に浮かべて男に近づいていく。
莉子Z
莉子Z
ふふふ……。さぁーて、どっちが本物かなぁー?
不審なサラリーマン
不審なサラリーマン
ど、ど、どっちでもかまわん! 両方殺せば済むことだ!
開き直った男が、莉子Zにおそいかかる。
莉子Z
莉子Z
いやーん!
莉子Zが男の前で。わざとらしくポテッと転ぶ。

打ち合わせ通りだ。
不審なサラリーマン
不審なサラリーマン
うわぁあああああーーー!
男が大声を上げ、うつぶせに倒れている莉子Zの上に馬乗うまのりになる。

彼は刃物はものを大きく振り上げ、彼女の背中に振り下ろした。


――ガキン!

かたいものに硬いものがぶつかる音がした。
不審なサラリーマン
不審なサラリーマン
へっ……?
男が呆然とぼうぜんする。

(続く)

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