莉子たちと作戦を練りながら歩いていたら、駅に着いた。
ホームは、やはり人でごった返している。
僕たちは、ほうぼうに散って莉子を探し始めた。
なんとしても、あの不審なサラリーマンより先に莉子を見つけないと。
さっそく莉子Cが見つけてくれたようだ。
他の莉子たちもわらわらと集まってきた。
急いで彼女の指差す方向に向かう。
いた!
見慣れたツインテールの後ろ姿が10メートルくらい向こうに立っている。
人ごみをかきわけながら莉子のほうへ進む。
思うように近づいていけないのが腹立たしい。
莉子Dが叫んだ。
見ると例のサラリーマンが莉子に近づいていくところだった。
手にはすでにナイフを持っている。
まわりの人も、男が持っている刃物に気がついたようだ。
僕は乗車待ちの人たちを押しのけて、莉子のほうへと急いだ。
そして、無理やり莉子と不審者の間に割り込んだ。
男がわめきちらしながら刃物を振り回す。
男の周りから、潮が引くように人がいなくなった。
生身の莉子は、混乱した様子で棒立ちになっている。
僕は男に話しかけた。
男は、ナイフの柄を両手で持って体の正面に構えた。
このまま僕の方に突進してくるつもりだろう。
僕は、大げさに驚いたような声を出し、あらぬ方向を指さした。
男も勢いに押され、そっちの方に目をやる。
そこには……
突然ターゲットと瓜二つの人物が別の方向から現れたことで、男がうろたえる。
男は二人を見比べて、間の抜けた声を出した。
悪乗りした莉子Zが、邪悪な笑みを顔に浮かべて男に近づいていく。
開き直った男が、莉子Zに襲いかかる。
莉子Zが男の前で。わざとらしくポテッと転ぶ。
打ち合わせ通りだ。
男が大声を上げ、うつぶせに倒れている莉子Zの上に馬乗りになる。
彼は刃物を大きく振り上げ、彼女の背中に振り下ろした。
――ガキン!
硬いものに硬いものがぶつかる音がした。
男が呆然とする。
(続く)

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。