─流星side─
次の日は、お店の定休日で家に1人やった。大ちゃんいるかもしれんけど…
──ピンポーン
·····?郵便?いいや。今日出るのめんどくさい…
それに、郵便って置き配にしてた気がする…
置いといてくれればいいや…
──ピンポーン
さっきから、情緒が分からなくなってた。大ちゃんがいるかもって、誰もいないところに向かって話しかけて、何も返ってこないと沈んで…
──ピンポーン
いやしつこ!!
何?誰?って、インターホンを確認すると、大橋くんやった。
「流星、開けて〜」
「ん?はい」
何しに来たんやろって思いながらドアを開けた。
「ごめん寝てた?」
「ううん」
「流星、なんも食べへんやろうなぁって思ったから、作りに来た」
「あ、別にいいのに笑」
「それに、大ちゃんがうるさいんよ笑」
「うん?笑」
「いや、朝起きたら俺の家にいて、流星んとこ行ってあげてって。ほんまにびっくりしたんやからな笑」
「ん?大ちゃんは今どこ?」
「また怖いって言うと思うけど、座りながら流星の足にしがみついてる」
「ひっ!?」
「あひゃひゃっ笑」
それはさすがにビビる!怖!!
俺大ちゃんの豚キムチ大好きやった。まだ指で数えられるくらいしか食べてないけど、大好きな味やった。もっと食べればよかったって、食べれなくなってから思うって、もう遅いんよな…
なんか、、揉めてる??
台所の方で大橋くんが1人で喋ってる。
喧嘩、、終わった?静かになった…
かと思えば、何かを作る音が聞こえて、リビングのソファから、台所をジッと見ていた。
冷蔵庫開けて、何かを取り出して、包丁のある場所も知ってるかのように、迷うことなくあちこち開けてる。
大橋くん、この家で料理するの初めてよな?なんで分かるん?
大ちゃんが教えてるんかなって思いながら、台所に行くと、見た事のある材料が並んでいた。
なんか、、、豚の切り方とか、何かをする動作が、なんとなく大ちゃんに似てる気が…
俺はいつも、大ちゃんが料理をしているのをここで見ていた。「あっち行っててええよ?」って言われても、どの料理が完成するのか楽しみで、離れなかった。
なんやろう、この既視感…
なんとなく、見ていたくて、見ていると、完成形が明らか豚キムチで、戸惑いを隠せなかった。さっきは、別の作るって言ってたのにって。
何?!なんで抱きしめて…っ!
何言って…
なんで泣いて…
意味わからへん。やっていい事とやっちゃいけない事があるやろ。
そんな事言われても…
とりあえず受け取って、一口食べた。
確認のためにもう一口食べたけど、あまりにも大ちゃんの味にそっくりで、泣きそうになった。
そう言って顔を歪めた大橋くんは、力が抜けたように、床に倒れた。
混乱してる大橋くんは、立ち上がると、出来上がった豚キムチを見て、固まった。次いで、僕に「これは?」って聞いてきた。
そう言って、大橋くんは再び豚キムチを作り始めた。さっきよりも包丁の使い方が手際良くて、あっという間に作ってしまった。
なんでこっちは、大ちゃんの味がしないん?ちゃんと見てたけど、何も変わったもの入れてなかったし、見た目も全く同じなのに…
久しぶりの大ちゃんの味を、たっぷり堪能した。
初めて、ここに大ちゃんがいるって、実感した。だって、この味は、大ちゃんにしか出せへんもん。この味は、確かに大ちゃんのやから。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。