─流星side─
死因は分かった。大ちゃんの体があったのも確認した。でもそしたら、なんで大ちゃんはここにいるんやろ…
成仏できてへんのかな…
未練が残ってるとか?地縛霊……ではないしなぁ。事故のあった場所にいるわけじゃないし…
「大ちゃんは、なんでここにいるん?」
「ん?流星と一緒にいたいから」
「はぁーっ、大ちゃんのことやから僕と一緒にいたいからとか言ってそうやな。そうじゃなくてさ」
「ほんまにすごいな笑 うん?そうじゃなくて?」
「なんで、魂がここに残ってるん?」
「あぁ。まだ火葬されてないから?葬式もまだやし」
あかん。大橋くんいないと全くなんにも分からへん。俺独り言喋ってるだけ。
「あれか。お葬式やってないからか」
「やっぱ考えてること一緒やね♡」
そりゃ成仏するわけないわ…
大ちゃんも、最初は自分が生きてるって思ってたんやろ?なんで死んだかも分かってなかった。自分が霊やと自覚してないのに、成仏なんてするわけない。まぁ、僕には見えへんけど。
「はぁ。疲れた…」
「いっぱい泣いてたもんな」
今日1日で3ヶ月分くらいの水分出したと思う。
「なぁ流星、指輪付けてみてや。サイズぴったりやと思うねんけど」
「大ちゃんももう寝るやろ?寝室行くで」
「··········うん」
カチッとリビングの明かりを消して、寝室に入り、大ちゃんが入るスペースを開けてベッドに潜った。
「流星、、俺ずっと、伝えてなかったことがあって」
「あ、アラーム…」
明日も早起きかぁ…
「こうなる前に、ちゃんと伝えたかった。流星、愛してる」
ピッと電気を消して、毛布を深く被った。明日絶対顔浮腫むから、早めに…
「はーっ、ダメか。伝わらへんか…」
「大ちゃん?寝てる?」
「あ、まだ。今ベッド入った」
「·····抱き合って寝たい」
「ぇっ、、よ、喜んで?笑」
隣にいるか分からない、ただの空気をギュゥっと抱きしめた。いつも寝る時、大ちゃんは僕を抱き枕みたいに抱いて寝る。僕もそれに慣れて、大ちゃんに包んでもらわないと、寝つきが悪くなった。
「ふふっ、おやすみ流星」
「おやすみ大ちゃん」
温もりも感触も何もないけど、なんとなく、いる気がして、抱きしめられてる気がして、久しぶりに早く寝れた。
「流星流星」
「んー?」
何かを企んでるような、愉しそうな声に振り返ると、大ちゃんはスマホを前に出してきた。
「写真撮ろ♡」
「写真?笑」
いやいきなりすぎるやろ。どこかに行ってるでもなく、普通に家で過ごしてるだけやで?こんなの撮っても面白くないやろ。
「はい、前見て」
「嫌や。髪整えてないし」
「大丈夫。流星は十分可愛いよ♡」
「可愛くない!笑」
「ほーら、前見て」
このままやと一生このやり取りすることになりそうやったから、前見て、ピースしてあげた。
「あ、流星」
「ん?…っ!?」
名前を呼ばれて振り返ると、唇を重ねられて、目を見開いた。驚きで動けないでいると、カメラのシャッター音が聞こえて、前を向いた。
「今何した?」
「ん?なんも?」
「写真撮ったやろ!」
「いや?そんなことしてへんよ」
「じゃあ見してみ。貸して」
「やだ」
「こら!笑 ちょっ!逃げるなっ!笑」
「ははっ、誰にも見せへんもん笑」
「消すから貸して!笑」
「何消すん?なんか消すもんあった?」
「さっきのキスのっ」
「そんなん知らんもん」
「このっ、ちょ!消して!笑」
「やだね笑」
──ジリジリジリジリ·····
「んん……」
うるさっ。
寝起きで視界がぼやける中、手探りでスマホを手に取って、アラームを止めた。
「んんんっ…」
なんか、懐かしい夢見たな…
スマホを奪おうとしても、スッとかわされて、逃げられて、結局写真を見ることも、消すこともできなかった。
あの時の写真が、大ちゃんのスマホの待ち受けになってたんやな…
「っ、、はぁっ…っ」
「あ、流星起き、、、え、流星?どうした?!どっか痛い?なんで泣いてっ」
楽しかったなぁ…
毎日飽きなくて、楽しくて、幸せで…
「んんっ、、ゔっ」
楽しかった日々だけが蘇って、また、あの頃みたいに大ちゃんと過ごしたいって、できもしないことを願って苦しくなって、朝から泣いてしまった。
「っ、流星…」
「はっ、、はぁーっ、、準備しなきゃっ」
「あっ……っ」
鏡見た時、やばいなぁって他人事のように思いながら顔を洗った。接客業なのに、こんな目を腫らした顔で出られへん…
沈んだ気持ちでお店に行くと、全員に心配されて、すぐ帰らされそうやった。働きたい意志を示すと、大橋くんは「じゃあ今日は厨房お願い」って、言ってくれた。
何もしてないより、働いてた方がずっと楽。他の事は考えられないくらい忙しくなるこのお店は、今の僕には快適すぎた。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。