─流星side─
車に入る前、泣いてたらダメやと、気持ちを切り替えて、大橋くんに話しかけられても、明るく振舞った。
さっきの袋を抱えてたから、大橋くん気になったんやろうけど、「そっか」と端的に応えて、それ以上は触れなかった。
そう言って、横を向いて、大ちゃんのスマホをグッと前に出した。
さっき散々泣いたのにっ、なんでまだ出てくるん?
見えないし、触れないけど、大ちゃんがいるって言ってたそこに向かって、誰もいないそこに向かって、腕を振り回した。でも拳は、的を捉えず空気に当たって、何も感触がない。
全然明るくなんて振る舞えなかった。大ちゃんの話をしたら、自然と涙が出てきて、胸が苦して、痛くて、ぐちゃぐちゃになって…
しばらく車に揺られて、窓の外の夜景を眺めていたら、勝手にペラペラと話していた。
袋から、指輪の入った箱を取りだして、ぎゅっと強く握りしめた。
そのほとんどが、原型をとどめてなくて、返却することができなかったらしい。一体何を買ったん…
大橋くんの震えた声が、印象に残った。たった一言なのに、ここからは大橋くんの顔は見えないのに、その後ろ姿も、すごく印象的だった。
僕と大ちゃんの家に着いて、僕は、大橋くんにいて欲しいってお願いした。どうしようもなく寂しくて、苦しいから、それを埋めてもらいたかったんやと思う。誰でもいいから、助けてもらいたかったんやと思う。
大ちゃんもいるやろうから、お茶の入ったコップを3つ、机に出した。
声じゃなくて、言葉を。声は、もう聞けへんけど、大橋くんを介してなら、言葉を聞くことは出来る。大橋くんが言ってることは、大ちゃんが言ってることなんやから。それは、大橋くんの言葉じゃなくて、大ちゃんの言葉やから。
大橋くんも、辛いはずなのに、、、
大橋くんは呆れたように笑って、引き留める僕を無視して、帰ってしまった。
事実を知って、辛くて苦しくて、しょうがなかったのに、今は結構気が楽。そばにいてくれてるって、逆に嬉しい。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。