第10話

彰輝との飲みの席
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2021/04/23 09:10
ということで、バイト後に彰輝と合流してうちの店で買い物をすることになった。



お店の店長さんには“お兄ちゃんイケメンね”とニヤニヤされた。

やっぱりそうなんだなと思うけど、優亜にしろ店長にしろ、立て続けにかっこいいってコメントを聞くから、顔面の良い要素全部コイツに持ってかれたんじゃないかって気がしてちょっと腹が立つ。

食器を買った後、服を選んで、今日は夕飯をとある居酒屋に入って飲み食いすることにした。

「美味いの?ここ。」

「うん!それもそうだし、ここ、優亜がバイトしてんの。」

「あぁ、そうなんだ。」

「今日いるかは知らないけど、金曜日と土曜日はだいたい居ると聞いたことがあったから。」

「へぇ。」

一か八かで入ったら、

「あぁぁ!真愛!!え!彰輝さんも!」

ちなみに彰輝の件は優亜には今朝LINEでちゃんと報告しているから、一緒に住む事に決定した事は伝わっている。だから小さい声で、

「仲直り出来て良かったね!」

と言われた。その後に…

「ねぇ!バイト終わったら私も混ざりたい!」

と小声で言われた。

「えぇ!?」

ちなみに優亜もこの近辺の学生アパートで一人暮らしをしている。だから私達に終電という概念はなかった。

「お願い!だって彰輝さんいるじゃーん!!」

と手を合わせてお願いされた。

「良いけど何時までなの?」

「今日は22時上がり。」

時計を見ると、今の時間は19時半過ぎ。今から約2時間半はある。彰輝に聞かないと分からないと思い、彰輝にも声をかける。

「ねぇ彰輝、優亜が22時にバイト終わるからその後混ざりたいんだって。明日なんか早くに仕事とかある?」

「明日?夕方から人と会うくらい。」

すると優愛が、

「合流して良いですか!?」

と目をキラキラさせながら彰輝にせがむ。

「あぁ、良いっすよ。」

「ありがとうございますー!よし、頑張ろ!」

そう言って優亜は元気よく手を振って戻って行く。

「なんか優亜がごめん。」

「いや、全然。」




ーうーん…。正直な所、好きかもしれない止まりでなんとも…。




この間優亜がそう言ってた事を思い出す。優亜は彰輝の事が好きなのかな?それともミーハー心?どっちなんだろう。
仮に優亜が彰輝の事を好きだと確定させたとする。私はそれならそれで優亜を応援したい。けど、彰輝は昔、酒癖だけじゃなくて女癖も悪かった。だから少し心配だった。
6年も経ってるし、その辺も更生されたかもしれないけど、彰輝を好きになってしまったことで、自分の大事な友達が苦しむ展開になる事だけは避けたい。

彰輝は優亜の事をどんな目で見てるんだろう。

彰輝は日本酒を、私はスクリュードライバーを頼んだ。運んできてくれたのは優亜だった。

「彰輝さん!後で行きますから待っててくださいね!真愛、後でねー!」

と調子のいい優亜。土曜日で混んでいるからこそ、今ここにいる彰輝が今日の優亜の心のオアシスなのかもしれない。

彰輝は去って行く優亜を見て一言だけ、

「元気良いよねあの子。」

と言った。

「あ、うん。」

その後一応乾杯をして飲み始める。

「彰輝、何食べたい?」

「ん?なんでもいいよ。好き嫌いないし。」

という事で私チョイスの唐揚げとマグロのお造りと、たこわさと、とんぺい焼きを頼んだ。

それから少し2人とも黙りして会話が止まった。

どうしよう。いざ彰輝と話すってなると、何を話せば良いか分からない。昨日は謝ってその後甘える流れに出来たけど、どうやったんだっけ。彰輝の事はいっぱい知りたいのに、何から話を振れば良いか、現状シラフの私には分からない。

あぁ、優亜がここに居れば…なんて思ってしまった。早くバイト終わって…。

私は無言が嫌いだ。彰輝はなんて事無さそうだけど。元々口数少ないし。

そんな中先に口を開いたのは彰輝だった。





続く

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