第5話

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2024/05/14 13:20
サリバン
デルキラ様!西地方の方でまた戦いが。抑えに行きますか?
魔王 デルキラ
そうだねー、大きくなってもやだし
魔王 デルキラ
おねがーい
サリバン
承知しました



あなた
……
デルキラ様の反応からして、戦いがあることって当たり前なのかな
抑えたりして大きくならないようにはしてるみたいだけど


魔王 デルキラ
?あなたどした?
あなた
いえ……
あなた
魔界ではああいった戦いが当たり前なのかと思って
魔王 デルキラ
んー、まぁそうだな


魔王 デルキラ
意見の対立、権力の争奪戦、跡継ぎ争い
魔王 デルキラ
他にも自分の領地を広げたいやつとか
魔王 デルキラ
まぁ、当たり前っちゃ当たり前だな
あなた
何とかならないんですか?
魔王 デルキラ
さすがに全部は防げない
魔王 デルキラ
悪魔は血が湧きやすいからねー、和解が難しいんだよ
魔王 デルキラ
大体が戦いが起きてそれを抑える形で終わらせる感じ
あなた
そうですか……






























あなた
なら、いっその事グループ分けしてみてはどうです?
魔王 デルキラ
ん?
あなた
対立してしまうなら、グループごとに領地や決まりを作れば良いかと思って
魔王 デルキラ
んー








魔王 デルキラ
ちょうど今同じようなことしてるんだよねー
あなた
そうなんですか?
魔王 デルキラ
そーなの、だって俺の魔界なのにあっちこっちで戦い起きてたら面倒いじゃん
魔王 デルキラ
だから何とか黙らせる方法ないかなーって思って
あなた
思って?










魔王 デルキラ
“階級制度”を作ろうとしてる
あなた
階級制度……?
アムドゥスキアス・ポロ
言っとくけど簡単な事じゃないんだからね
あなた
わ、ポロちゃんいつの間に……
急にぬっと現れてきたポロちゃんにびっくりする
簡単じゃない?
魔王のデルキラ様の言葉なら誰でも聞くんじゃないの?
あなた
でも、魔王のデルキラ様の話なら誰でも言うこと聞くんじゃないんですか?
魔王 デルキラ
全員がそうってわけじゃねーよ
アムドゥスキアス・ポロ
第一、デルちゃんは周りからの反対を実力でねじ伏せて魔王になったの
アムドゥスキアス・ポロ
反対意見を聞かずに押し切って魔王になったから、反対する意見も多いのよね
魔王 デルキラ
まっ、いずれそいつらも黙らせるけど
アムドゥスキアス・ポロ
さっすがデルちゃん!いつでも着いてくわよ♡
あなた
あはは……
ポロちゃんの相変わらずな対応に苦笑いする



あなたにとって争い事はゴメンだ
血が流れるし、怖いし、何より痛い
だがそれが当たり前の魔界では、あなたの常識は通用しなかった
あなた
身分が出来れば、その分権力争いや跡継ぎ争いも減る……
でもその代わり、人としての上下関係ができ上がる
魔王がトップとするならば、

その下は貴族辺りになるだろう
あなた
(なら私の立場は?)
ふと思う、自分はどの立場なのだろうと
魔界の王に気まぐれで魔界に呼び出され、

帰る方法も分からぬまま
あなた
(結局わたしってなんなんだろう……)
アムドゥスキアス・ポロ
でもデルちゃん、階級制度を作りあげれば今まで名を挙げてきたヤツらが黙っちゃいないわよ
アムドゥスキアス・ポロ
さすがにそいつらをあなた一人で抑え込むのは無理なんじゃない?
魔王 デルキラ
うん、だからまずは13人の冠達に仕事をさせる
あなた
13人の冠達……?
アムドゥスキアス・ポロ
13冠、この魔界で選ばれた優秀な13人の悪魔のことよ
アムドゥスキアス・ポロ
彼らはこの魔界でどんな我儘も許される
アムドゥスキアス・ポロ
絶対的な地位を持つ、13人の王よ
あなた
そ、そんなすごい人が……
魔王 デルキラ
アイツらが仕事をすればそれなりに俺も動けるでしょ
アムドゥスキアス・ポロ
実力のある若い悪魔が血筋や権力で押しつぶされるなんてそれほど惜しいことは無い
アムドゥスキアス・ポロ
これからは時代が加速するわよ、あなたあんたもデルちゃんの隣でしっかり見てなさい
あなた
!はい!
後に名をあげる音魔と魔王
魔王デルキラの最初の功績は階級制度の設定
強いものほど気高く、美しく、偉い
あなた
(血筋も何も関係ない弱肉強食の世界)
向こう人間界にいたのなら絶対に味わうことの無い危険スリル

これほど面白いことがあるだろうか
あなた
っ〜!!(ゾクゾクッ
魔王 デルキラ
これからどんどん面白くなっていくぞー!
あなた
デルキラ様
魔王 デルキラ
んー?何ー?
あなた
魔界って楽しいですね!
魔王 デルキラ
……は?
自分の中での常識なんて通用しない
全く見知らぬ場所に呼ばれ
それでも尚彼女は笑う


自分の普通が通じないこの魔界で

まるで今の状況に絶望なんてしていないかのように

心の底から今の状況を楽しんでる
魔王 デルキラ
あなた……お前
あなた
デルキラ様はじめに言ったでしょ
あなた
「俺が魔界を作るとこ、俺の隣で見ていろよ」って
魔王 デルキラ
あなた
私見てますよ、貴方が魔界を作るとこ。だから私に見せてくださいね
あなた
あなたが作る最高の魔界を
暗示をかけるように、呪いのように


それでも儚い約束のように


真っ直ぐな目であなたはデルキラを見つめる




微笑む笑顔ははにかむようにして
魔王 デルキラ
!……ハハッ!!
魔王 デルキラ
あぁ!いいぜ見せてやるよ!あなたの目が吹っ飛ぶくらい!最高の魔界を!

ギュッ!
アムドゥスキアス・ポロ
ちょっと私を1人にしないでよね!
魔王 デルキラ
アハハッごめんなーポロちゃん
アムドゥスキアス・ポロ
いいことあなた、あんたデルちゃんの足を引っ張ったらタダじゃおかないからね
あなた
ひゃひゃい……

























魔界に突如として召喚された1人の人間
彼らが紡ぐ、新しい気まぐれの物語

魔王 デルキラ
もう一生返してやんね
あなた
そ、それは困ります!


それが愛なのか、はたまた恋なのか
それを知るのは2人のみ


題名のない物語なんて滑稽でしょう?













































曖昧な関係の彼らにはちょうどいいでしょうに

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