目の前には大量の魔物。
ここはノスタルジアの城下町からだいぶ離れた洞窟だ。
魔物は暗いところを好む性質があるから、こういった洞窟に集まるのは自然だが、それにしても多い。
玉石の力を授かった翌日。
昼飯を食べようとしていたおんりーを拉致し、MENはここまでやってきた。
能力と聞いて、とにかく心が躍っていたらしい。
おんりーはため息をついて、魔物たちの様子を伺う。
魔物らは舌を舐めずって、今にも襲いかかってきたそうに目を光らせている。
ため息をつきながら、背中に構えている剣を抜くのを見て、MENは微笑む。
その声を合図に魔物たちは一斉にかかってくる。
あっという間に、2人は囲まれてしまう。
互いの背中を預け合いながら、全体を見るように周り、
様子を伺う。
おんりーの顔があからさまに歪むのをMENが確認したその瞬間、元がネコ科であろうその四足獣が高く跳び、襲いかかってくる。
振り返りざまにその横腹に刃渡りの長いアクスをぶつける。真っ二つになったそれは地面に転がり、ゆっくりと灰になり、消えていった。
その四足獣をトリガーに一斉に周囲の魔物が襲いかかってくる。それをいつものように二人で非常に連携の取れた動きで狩っていくも、能力は咲かない。
手に力を込めるように、動かすと、その手に光が宿る。
その手を自身の剣に滑らせ、思い切り薙ぎ払う。
薙ぎ払ったその剣から、残像のような光の亀裂が生まれ、
魔物たちに向かっていく。
それは、数十体といた魔物を一瞬にして灰にしたのだった。
MENはそれを目を細めて観察する。
灰が昇っていったその隙間を埋めるようにすぐ大量の魔物が出てきて、また囲まれる。
その言葉を最後に2人はまたそれぞれの方向へと蹴り出し、駆け出していく。
切り裂き、走り出すの繰り返し。
時には魔物の間隙を縫い滑り込み、時には魔物らの頭を踏みつけ、跳び上がる。
2人各々好きなだけ暴れ回ると、再び背中を合わせて定位置に戻る。
そのふわっとした問いかけに思わずMENは振り返る。
MENの方を向き、静かに後退していく。
その背後には大量の魔物が待ち構えている。
彼の表情は、度胸を試す子供のようだ。
MENを試すように微笑み、頬には汗を垂らす。
後へ引いて行ったおんりーも、それを慌てて追ったMENも、魔物の大群に群がられ、そこに1つの魔物の塊が出来上がる。
鬱陶しい魔物たちの声だけが響いて、
その空間が停滞する。────────────
刹那、その魔物の塊は中心から発せられた気圧によって
吹っ飛んでいく。
その中心では、ドーム型のバリアに護られる2人の姿が見える。
歩き出すMENを見て、
おんりーはふと思ったことを口にする。
間髪入れずにそう口にすると、MENは言葉に詰まるように少し目を見開いてから、表情を緩める。
軽く笑いそんな口を叩いてすぐ、MENは俯いて問うた。
曖昧な会話を重ねて、最後に微笑み合うと、また、戦場へと向かっていった。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。