?「こんなんで自分が強いって勘違いできる頭、どうなってんだよ……」
やれやれ、と少年は屈伸をすると、彼らの胸ぐらを掴む。
桜「オレの顔と名前、覚えておけ。……風鈴高校、桜遥だ!」
自身のことを、桜遥だと名乗った彼は、その場から立ち去ろうとする。
私とことはは本能的に動いて、桜の腕を掴むことに成功した。
ことは「ねぇっ!ありがとう」
あなた「わっ、私からもありがとうっ」
すると、桜は辺りを見回して、たくさん見回した後、自分のことを指差し、あっけらかんとしている。
桜「え、オレ……?」
ことは「アンタ以外に誰がいるのよ」
そうすれば、桜の顔はみるみるうちに真っ赤になっていって、ボンと火山が噴火したみたいになった。
ぶわり、と赤が全身に広がっていく。
桜「べっ、別にお前らを助けたかったわけじゃねーし!さっきのヤツが気に食わなかっただけだし!!」
これが、風鈴高校を目指すもの、か。
私は何だか嬉しくなってしまった。
私とことはは目を合わせ、同時にニヤリと笑う。
ことは「ねぇ、お腹空いてない?」
桜「はぁっ!?空いてねぇーし!!」
あなた「まま、そんなこと言わずにさ。ことはのご飯はおいしーぞ?」
、
ことは「へぇ〜、じゃあ桜は外の人間なのか」
あなた「そうなんだ!だから見たことないな〜って思ってたんだよねぇ、納得だわ」
言葉の経営しているお店、喫茶ポトスにて。
私の目の前でことはがオムライスを作り、私の真隣に桜遥……遥が座っている。
ことは「こんなところに来る珍しいヤツもいるのね」
あなた「だいぶ物好きなんだと思うよ。ねぇ、遥?」
桜「どうせオレは変人だよ……って、勝手に名前で呼ぶな!」
急に怒鳴られたので、カウンターで寝そべっていた体をだるく起こす。
あなた「いーじゃん。じゃあ私も名乗っとくよ。私、柚木あなた。遥と同じ16だよ」
ピースサインをすると、弱々しく手を振り払われた。
なんか、遥が可愛らしいぞ。
ことは「私は橘ことは。これからよろしくね、桜。ま、桜のこととやかく言えないんだよね、私もゆーて外の人間だし」
あなた「私もだけどね〜」
なんか、さっきまで殴り合いがあったとは思えないほど、平和だ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。