オムライスをガツガツと食らう遥の横で、私もお腹が空いてきてしまった。
だけど、今日はお金を持ち合わせていないし、何よりことはの付き添いでこの商店街にやってきただけなので、特に用もない。
桜「この店って、テイクアウトできんの?」
ことは「は?できねぇーよ。テイクアウトだろ?できねぇーよ」
桜「っ、そうか」
なんだか残念そうにしている遥の姿を見て、私はニヤニヤと笑う。
あなた「テイクアウトしたいくらい美味しかったんでしょ?ちょーどいいじゃん、検討してみたら?」
ことは「うーん、そうなんだけどね。もうちょいしたら考えてみるよ」
あなた「うん!テイクアウトできるようになったら、私毎日そうするから!ね、遥」
桜「アァ!?うぅっ、うっせ」
さっきからデレデレと顔を真っ赤にさせて、女の子に耐性がないらしい。
すると、洗い物をしていた、ことはは急に、桜のことを見つめる。
ことは「それにしても、桜は変わったナリしてんのね。片側だけ色が違う」
そう言うと、眼光を鋭くする遥。
私もマジマジと見つめる。
本当だ、黒と白が綺麗に分けられてて、目の色もオッドアイというやつだろうか。
全然色が違う。
桜「……あ?何か文句」
ことは「すーげぇ、ビー玉みたい」
あなた「かっこいい……」
素直に私たちが褒めていると、すごい音を立てて、後ろへのけ反る。
桜「あぁ!?やんのか!」
ことは「メンチ切ったわけじゃねぇよ」
あなた「喧嘩売ってるつもりないんだけど」
なんか、いちいち喧嘩腰というか、なんというか。
そのナリもあって、差別みたいなのを風鈴高校に来たのかと思っていたけど。
桜「喧嘩にナリは関係ねぇ。だから、風鈴高校に来た」
きっと、話はちゃんと聞いていないけれど。
彼は、昔の風鈴の評判を聞いて、この学校に来たんだと思う。
昔は風紀なんて言葉存在していないようだったし、喧嘩が日常。
だけど、そんな彼は、昔よりも今の風鈴が合っている気がした。
桜「オレは、そこでてっぺん取る」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。