あなた「…………はぁ?」
ことは「おおっ、言うね」
彼の言っている言葉の意味が理解できず、首を傾げると、遥は続けて話す。
桜「喧嘩しか取り柄がないど底辺の嫌われ者が……1番かけて喧嘩するなんて最高じゃねーか。まさに、クズの中のクズを決める戦い。オレにぴったりだ……」
ことはがなんとも言えない顔をしている。
クズの中のクズ。
遥は自分のことをそう言った。
だけど、本当のクズは私たちのことなんて、見て見ぬふりをする。
助けてもくれない、見てくれない、私の状況をわかってくれない。
だから、遥はクズなんかじゃない。
そう言いたいけど、今言ったところで彼に届いてはくれないと、私の勘がそう言っている。
ことは「あー、だから学校明日からなのに制服着てんだ!ワクワクしちゃった?」
ことはは相変わらず、遥をいじめる……というより、いじるのが楽しいみたいだ。
なので、私も乗っかってみる。
あなた「楽しみなんだ〜!いいねぇいいねぇ」
桜「ちっ、ちげーしっ……これはあれだ……引っ越してきたばっかりで服がねぇーんだ!」
ことは「そーすかそーすか、楽しみっすよね学校生活……」
あなた「新しい生活に環境……それも喧嘩ができるなんて、今の遥にとったら、最高の環境っすよね??」
桜「てめぇら表出ろ……」
すっかり怒ってしまった様子の桜に謝っていると、ご飯を食べ終わったらしい山じいが遥の後ろを通っていく。
山じい「ことはちゃん、ごちそーさま。あなたちゃんもいつもありがとうね」
ことは「はーい。山じい、いつもありがとねー」
あなた「こちらこそ、いつもありがとう〜」
そう言いかけて席を立った瞬間、私の肩は後方に引き寄せられる。
そして、うまくバランスをとって、真上を見てみれば、遥の姿。
桜「おい、じいさん。荷物忘れてんぞ」
すると、山じいは慌てた様子で荷物を受け取り、帰って行った。
あなた「アンタ、いいヤツだね」
桜「アァ?」
山じいの対応が終わった、ことはは、桜の元へ雨を渡しに来る。
ことは「助かりました、ありがとうって」
すると、ことはからもらった飴を手にしながら、顔を真っ赤にさせる遥。
でも、ことはは慎重な面持ちで、腕を組んでいる。
ことは「アンタに風鈴のてっぺんは取れない。絶対にね」
桜「はぁ?」
ことは「アンタはヒトリだから」
そう告げた瞬間、桜は怒って出ていってしまった。
あなた「……そんなこと言ってよかったの?」
ことは「うん……どうせ、後からわかることだから」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。