第3話

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2022/06/07 08:50




南side___








다현
다현
皆席ついて〜!








一学期期末試験も終え、私達高校二年生は気が抜けきった学校生活を送っていた。




一学期のイベント事はもう何もない。




テストや何か学校祭がある訳でもなく、ただただ来たる夏休みを心待ちにしていた。




初夏とは言い難いこの気温。既に真夏日なのではないかと思うほどの暑さ。




空調は効いているものの、廊下へ一歩踏み出せば驚くほどの蒸し暑さ。




朝からそんな蒸し暑さにやられている私達。朝だというのに爽やかさなんて微塵もない。



そして今日。一学期最終日の朝。明日から夏休みという事実に浮かれている教室内に大声で乗り込んできたのが、我らが担任のダヒョン先生。




かなり美人で、綺麗な人。でもたまにドジを踏むから、生徒からは愛されキャラで通っている人。教科は国語。




普段はもう少し遅いダヒョン先生がHR五分前に来るだなんて。




しかもあんな笑顔でやってくるなんて相当な発表があるんだろう。




そんなことを考えながら、つい先まで話していた友人の席を離れ、自席へと戻る。




この時期の重大発表…?夏休み直前やのに、なんかあったっけ



紗夏
紗夏
なぁなぁ
南
ん?
紗夏
紗夏
重大発表、なんやと思う?
南
ん〜…夏休みの注意とか?
紗夏
紗夏
全然重大やないなそれ笑
南
でもそれくらいしか思いつかんくない…?
紗夏
紗夏
まぁなぁ………あ!体育祭のこととか?!
南
…流石に時期尚早やない?笑
紗夏
紗夏
やっぱりそうやんな…笑





隣のさーたんとそんなことを話しながら、ダヒョン先生が話し出すのを待つ。




何をそこまでニヤニヤする必要があるのか。




今までにないほど楽しそうな顔で全員が席に着くのを待っている。




なんか不気味やなぁ…



다현
다현
はい!今日は朝から嬉しい発表があります
紗夏
紗夏
せんせ、今日ご機嫌?
다현
다현
ヘヘ…今日からまた一個楽しみが増えたからワクワクしちゃって
南
何があったんですか?
다현
다현
今から分かるよ、ちょっと静かにしててね





無駄に引き伸ばして数分、ダヒョン先生は物凄く笑顔で、閉じられた扉の向こうへ声をかけた。




隣のさーたんはその声を聞いて余計に楽しそうに笑って。




全員の視線がその扉に集中した時、その扉は開かれた。















っわ……すっごい、綺麗………
















扉を後ろ手で閉めたその子は、物凄く綺麗な女の子。




中性的な顔立ちで、かっこいいとも、可愛いとも、綺麗とも言えるような女の子。




身長は結構高め。170辺りの黒髪で、艶があるサラサラな髪。バッサリショートではないけど、短い方。




ちょっとだけめんどくさそうな顔をしてるけど、それでも美形であることには変わりない。



다현
다현
はい。今日からこのクラスに新しい仲間が増えました!
다현
다현
自己紹介。簡単でいいから、お願いします!
(なまえ)
あなた
あなたの名字あなたです…好きなもの、は…読書…とか、ゲーム、とか...?
다현
다현
...わ、私に聞いてる?笑
(なまえ)
あなた
いや…まぁ、そんな感じです。よろしくお願いします
다현
다현
...笑 結構適当なところあるけど、仲良くしてあげてください!
다현
다현
じゃあ、あなたさんはあの一番後ろの席。隣はいないけど1人でも大丈夫?
(なまえ)
あなた
あ、そっちの方が助かります








…い、意外とサバサバっていうか…








見かけによらず低い声。一定のトーンでどこか機械的な話し方をする彼女は、あなたという名前らしい。




自己紹介も凄く適当だった。が、それがツボに入ったのか、隣のさーたんはあなたちゃんが席についてからずっと笑ってる。




姿勢もいいし結構身だしなみもしっかりしてるし…もっとこう、しっかりした感じだと思ってたんやけどこんな感じの人もいるんやな笑

















それから私達は修了式を終えて、成績通知表を渡される時間になった。




この時間はほとんど自由時間と等しい。




大体は友達のところへ行って、通知表を見せびらかしたり隠したりなんてやりとりをしている。




…そんな中で。私の隣の人は今日からクラスメイトになった彼女の元へ、我先にと飛んでいった。




正直さーたんのあの社交性は羨ましい。




私がこのクラスに馴染めたのも、一年の時もさーたんのおかげで友達が増えたようなものだから。





それが理由かどうかはわからないけど、ちょっとだけさーたんを取られたような気分で気分が落ち込んだ。




とりあえず私も話しかけてみようか。ここにいてもどうせさーたんが戻ってくるまで一人だし。








“名井さ〜ん、次呼ばれてるよ〜“








…やっぱり、話すのはまた今度でいいかな

























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