ここは……?
気がつくと、真っ暗な空間にいた
そこはまるで、「光」という概念がないかのようで
前も後ろも、ただただ黒い闇が続いているだけだった
……来てくれたんだね、颯斗
!?
背後から誰かに声をかけられる
だっ、誰だ!?
振り返った先にいたのは、1人の……少年?少女?
どちらともいえない、中性的な見た目の子供だった
見た目は小学6年生くらいで、髪と瞳は白に近い空色
優しい笑みを浮かべて、俺の方を見ていた
僕はソラ
ずっと君を待ってたんだよ、颯斗
ニカッと眩しいくらいの笑顔を浮かべる
笑った口からは八重歯が覗いていた
そういえば、さっきから颯斗って……
……?颯斗は颯斗でしょ?
ソラと名乗る少年?は首をかしげて言った
いや、そういうことじゃなくて……
君、俺のこと知ってるの……?
俺が問いかけると、ソラは再び笑顔で答えた
知ってるに決まってるじゃん!
だって、この本の主人公は僕だよ?
僕が颯斗を選んだんだから!
この本の、主人公……?
な、何言って……
すると、ソラは不思議そうな顔でまた首をかしげる
何って……管理人に言われたでしょ?
「この本が颯斗開くべきの本だ」って
「それが颯斗さんの開くべき本ですよ」
「全ては開けば分かりますよ
さぁ、その手で本を開いてみて下さい」
その時、俺は永華さんに言われた言葉を思い出した
管理人って、永華さんのこと……?
そうそう!
深沼 永華、だったっけ?
いやー、僕さぁ
何かを覚えるの苦手なんだよねぇー
頭をかきながら言うソラ
さーてと、本題入ろうか!
僕が颯斗を選んだ理由は他でもない
僕の手伝いをしてほしいんだ!
手伝い……?
そう!
颯斗、この本のタイトル覚えてる?
この本のタイトル?
えっと、確か……
「空色のクレヨン」、だったはず……
俺が答えると、ソラはニパッと笑って
正解正解、大せいか~い!!
そう!この本のタイトルは
「空色のクレヨン」!
で、僕がそのクレヨンなんだ!
……ん?「僕がそのクレヨン」?
待て待て待て、一体どういうことだ?
目の前にいるのは確実に人だ、クレヨンではない
この感じ……混乱してるかな?
当たり前だ、混乱しないわけがないだろ
じゃあ、そんな颯斗に説明してあげる
僕は人じゃなくてクレヨンなんだ
「忘却物」となった、空色のクレヨン
僕は持ち主に忘れられて
この「月夜の雨宿り」に流れ着いた
持ち主の中にある、僕の記憶と共にね
つまり、この本は持ち主の「記憶」
僕と持ち主の「思い出」そのものなんだ
「忘却物」って、さっき琳瑚が言ってたやつ……
なんとなく、ソラの言っていることが分かった
ソラは、忘れられて「忘却物」となったクレヨン
ソラと共に、持ち主はソラとの「思い出」も忘れた
結果、「月夜の雨宿り」に流れ着いた
そしてここは、ソラの持ち主の「記憶」の中
ソラと持ち主の「思い出」の中だ
その時、1つの疑問が浮かんだ
じゃあ、何で人間の姿をして……
あぁ、そのことか
いやー、気づいたらこの姿でさー
正直、僕もビックリだよ~
ハハハ、と笑いながら話すソラ
ま、いいんだ
この方が色々と便利だし
クレヨンのままだったら
颯斗と話せないしね~
どうやら、ソラは呑気な性格のようだ
……そうだ、手伝いって何?
ん?手伝い?
……あー!その話だったね!
ごめんごめん、すっかり忘れてたよ
忘れてたって……
ソラの言葉を聞いて、少し先が思いやられた
まぁまぁ、そんな顔しないでよ
ちゃんと話すって!
颯斗、君には_____
僕の持ち主に……
心結ちゃんに僕を思い出して
もらうための手伝いをしてほしいんだ
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!