あなたside
ほんのすこぉーし遅れただけの悟に、コイツらは文句を言った。
(随分と心がお狭いんですね!)←こら
悟の後ろから出てきた私に向け、言葉が放たれた。
(忘れるのが得意なようで。老化ですか?)
心の中で呟いた本音は奥の方に押し込んで答えた。
本当は微塵も会いたくなかったが、上層部からの好感度を高めるために嘘をついた。
(てか、何について話すのか悟に言われてないんだけど)
(ま、いっか!コイツらのことだし、特に深い内容じゃないでしょ!)←
(お..)
(あ、そのことか)
(てか、422秒って....細かすぎでしょ)
(あ、そーだったんだ)
いーぞー、悟ー、もっとやれー
そう言って帰ろうとする悟。
その後を、私もついていく。
悟は高専に向かい、サングラスを取って包帯を巻きながら言った。
悟は高専のグラウンドを走る憂太を見ながら言った。
憂太は息切れしながらも一生懸命グラウンド走っている。
真希と棘はそんな憂太を平然と追い抜かしていった。
パンダが、二人にあと一周であることを伝える声がこちらにも届く。
そんなみんなを見ながら、悟は呟いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!