今から洗い出すべきは、蜘蛛が一生懸命張り巡らせた糸である。
千田波空斗が手を挙げた。
ミロが名乗りを上げた波空斗に続く。
旺太郎は頷いた。
駿太がだるげに聞く。
戸惑い気味に李玖が尋ねると
急に名前が上がり驚いたように、さっきまでタブレットと地図とを交互に睨みつけていた俊旭が顔を上げる。
和やかな彼らの雰囲気に反して戦闘メンバーか出る幕ないかも…と、しょんぼりしだす。
?を浮かべる真之をフォローする様に創世が話す。
各々得意武器の手入れを終えた手は、迷いがなかった。
ーーー
同じ頃。
暗い部屋。
コンクリートの床。
蛍光灯が一つ、低く唸っている。
山本龍人は、椅子に縛られていた。手首は痺れ、足先の感覚も曖昧だ。だが、意識ははっきりしている。
目の前に立つ男は、静かだった。
怒鳴りもしない。笑いもしない。
龍人はなにも答えない。
ただ悔しげに唇を噛み、視線を逸らす。
その言葉に、龍人はわずかに目を動かした。
心の中で、龍人はそれだけを繰り返す。
男は扉に向かって歩き出す。
扉が閉まる。
闇の中で、龍人は静かに息を整えた。
怖くないわけじゃない。震えないわけでもない。
それでも。
それだけは、疑わなかった。
拷問器具やら薬やらなんやら。全てが揃ったこの部屋で、龍人はどれだけ耐えられるのだろうか。
ーーー
恵比寿園の夜が、また動き出す。
蜘蛛の糸は、切られ始めている。
そして、氷と絆は、もう引き返さない。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。