第14話

第十四話
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2026/01/27 11:54 更新
その騒動から数日後。

薄暗い部屋で、龍人は目を閉じていた。
急に今まで拘束されていた建物から少しボロい建物へと変わり、よくわからない状況が続いていた。
外が、騒がしい。

遠くで、何かが壊れる音。
叫び声。
銃声。
山本龍人
ーー来た
確信に近い感覚。

扉の外で、足音が乱れる。
誰かが叫ぶ。
モブ
…撤退だ!上が潰された!
龍人は、ゆっくりと息を吐いた。
怖い。
でも、それ以上に。
山本龍人
(もう少しだ…!)
彼は拘束されて動かしにくい中、震える手でこの数日間でできた殴られた後や刺され続けた注射痕をなでた。
龍人は目を閉じたまま、呼吸の回数を数えていた。
痛みは、もう新しいものじゃない。身体のあちこちに残る鈍い感覚も、今さら驚くほどじゃなかった。

――でも。

外の音が、明らかに違う。

今まで聞こえていたのは、一定のリズムだった。足音、扉の開閉、短い命令。
それが今は、乱れている。叫び声が重なり、何かを引きずる音がして、誰かが怒鳴っている。
モブ
……くそ、なんで……!
聞き覚えのない声。
緋蜘蛛の構成員だ。少なくとも、ここ数日龍人の前に出てきた連中じゃない。
モブ
上が……上が全部、やられたって……!
その言葉に、龍人の胸がわずかに跳ねた。

――上が、潰された。

確信が、形になる。

拘束された手首に力を入れる。動かない。それでも、指先だけはまだ感覚がある。
震えは止まらないが、それは恐怖だけじゃなかった。

――来てる。

扉の向こうで、何かが倒れる音。
短く、乾いた銃声。

続いて、重たい音が床を叩いた。

静寂。

数秒。あるいは、もっと短かったかもしれない。
中村旺太郎
…龍人!
低く、落ち着いた声。

聞き間違えるはずがなかった。
山本龍人
おう、ちゃん…!
声に出した途端、喉がひっかかる。情けないほど掠れていた。

扉が開く。
逆光の中に立っていたのは、中村旺太郎だった。刀は下げられその刀から血が垂れる。けれど、表情には安堵と高揚が込められていた。

その背後に、見慣れた影が次々と現れた。
千田波空斗
…りゅうと!!…うわなにこれ!キツく締めすぎー!
千田波空斗が駆け寄り、すぐに拘束具を確認する。
筒井俊旭
まだ動かんでええよ〜絆組が上のん潰してくれてるから
筒井俊旭が周囲を確認しながら言う。
山本龍人
……っ、良かった
龍人は力が抜けたように息を吐いた。
竹野世梛
よう頑張ったなー!えらいやーん
世梛が、しゃがみ込んで視線を合わせる。
声はいつも通り、元気で。しかし、穏やかだった。
山本龍人
……ごめ、ん…… 足、引っ張って……
龍人が掠れた声で呟けば
阿久根温世
何言うてんねん、そんなん一生言なや
志賀李玖
そだよ〜龍ちゃんが耐えてくれなかったら話にならなかったからね
温世と李玖が頭を撫でる。
八神遼介
そうそう。龍人がいなきゃ盛り上がんないの
八神遼介も後ろから言う。
その軽口に、龍人の目が少し潤む。
中村旺太郎
帰ろう
中村旺太郎
もう、終わりだ
旺太郎はそれだけ言って、上着を脱ぎ、龍人の肩にかけた。

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