―――コンコンコン。
ノック音がして、眠りから覚める。
🦖「しゅあさん、おはようございます」
これは……ディノさんの声。
足音が近づいてきて、数秒後に、シャ…っとカーテンの開く音がした。
目を閉じてても、痛いくらいに目を刺してくる太陽の威力って凄まじい。
もう、朝なの……?
モゾモゾ体を動かして上半身を起こす。
うーん、なんかすごいよく眠れた気がする…、
目をこすって、それから体を伸ばして。
そこでようやく、昨日のことを思い出した。
そうだ、昨日ははにと、!
咄嗟に部屋を見回すけど、部屋にはディノさんと僕以外誰もいない。
…え、?
まさか、夢だった?
🐰「ねえ、はにって……」
カーテンを留めるディノさんに声をかける。
🦖「ああ。はにさんなら今朝、僕がちょうどこちらに来るタイミングで出て行かれましたよ」
🐰「あ、………そうなんだ」
なにそれ。
目が覚めたら、僕のことも起こしてくれればよかったのに。
しかも今日は土曜日だよ。
そんなに急いで帰る必要なくない…?
しょんぼりうなだれる僕に、ディノさんはふふっと笑いかけた。
🦖「今日は、生徒会の仕事があるっておっしゃっていましたよ」
🐰「え、生徒会?」
🦖「ああ、それから。しゅあさんに宛に伝言を頼まれていたんです。“漫画借りて行く”、とのことでした」
🐰「はあ、わかりました……、いや、…え?」
マンガ カリテイク?
……ええええええまさか!?
バッと見上げた本棚。
見慣れたブックカバーの背表紙が…ない。
嘘!ほんとにない!
『意地悪な幼なじみの甘い指先に〜(以下自主規制)』の、既刊全5巻がない…、!!
サーッと血が下のほうに流れていく。
どっ、どうしよう!
あんなの見られたら生きていけない!
もう何度か見られてるからって開き直ることもできない!
僕にとってはもはやバイブルと言っていいほどの神作品だけど。
あんな甘々全開のシチュエーションに憧れてるって知ったらぜったいバカにしてくる。
ううっ。
意地悪い顔が容易に想像できる………
🦖「しゅあさん、どうかされましたか、?」
🐰「な、なんでもないです」
🦖「顔色がよろしくないようですが……」
🐰「ダイジョウブです…、」
ぜんぜん大丈夫じゃないです。
表紙もギリギリの危うさだし。
本編の9割はイチャイチャシーンだし。
見られる前に、今すぐにでも取り返さないと……っ。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。