他に、ワンダーランズ×ショウタイムへ、曲を書き、その際に、ショーに出ないか、と誘われたが、演技はできる気がしないので断った。
ショー用に曲を書き下ろす程度ならやろうか? と
だけ言っておいた。
それでもすごく喜んでいたので、まぁこれはこれで良かったかな、と思う。
そして、翌日の朝イチ。
俺は、珍しくムスッとした表情の雫と、腕を組む志歩の前で正座していた。
恐る恐る、といった具合に聞くと、志歩から冷ややかな目線を向けられる。
俺なんかしたか・・・・・・?
はて・・・・・・?まだ何か秘密にしていたか?
そんなの・・・・・・
特に、俺のような中途半端な立ち位置の人間は、家族にさえ言うのも憚られる。
志歩の心の吐露を聞いて、俺は、もう何度目かも分からない後悔をする。
ほんの少しでも信用、信頼して、秘密を打ち明けることが出来ていたのなら。
そんなたらればを想像して、虚しくなる。
少なくとも、そんなことを考えて居るうちは、志歩の悲しみを和らげることなんてできやしないだろう。
二人に正面から伝える。
そんな時、ローテーブルに置いていたスマホから、以前、『開かれた窓のセカイ』で出会ったミクがこちらを見ていた。
柔らかい微笑を浮かべ、俺と目が合うと、ウインクしてきた。
少しだけ笑ってしまいそうになったが、それを抑える。
不意に、胸にどこか温かい感覚ができたような気がした。
雫が志歩の隣で笑顔でうんうん、と頷いてみせた。
そう前置きして、俺はかねてより考えていた計画を二人に話した。
その日の夜、俺は部屋で一人ヘッドフォンを着け、パソコンと向き合っていた。
まぁ、厳密には一人ではないが。
不意にヘッドフォンからそんな陽気な声が聞こえて来る。
絵名の声が間髪入れずに届く。
それに奏が「落ち着いて・・・・・・」と声をかけていた。
まふゆさんは、多分聞いてるけど反応する必要無いと思ってるんだろうな。
これがここでのいつもの日常らしい。
そう聞くと、え、とまふゆを除く全員が素っ頓狂な声を上げた。
二人が口々に心配をしてくれる。
そこで、俺は志歩と雫に話したプランを、四人に語って聞かせる。



















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。