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梅雨半ばを乗り越えた頃になると、
ジメジメとした蒸し暑さから段々カラッとした夏らしい暑さに切り替わり始めた。
制服もきっちり夏服に衣替えをし、それが不満なのか彼は口先を尖らしては私に言う。
彼の言う、『ダサい夏服』にすっかり変わってしまった私達だが、
今日は私が最も嫌いなイベントがある。
スポーツテスト最後の強敵、ラスボス・“ 20mシャトルラン ” を倒すべく体育館に来ていた。
体育館内は網で中間地点で半分に分けられ、私達女子グループの向かいには同じクラスの男子達が群がっていた。
半袖にハーフパンツの体操着を来た彼らは舞台上や床に座ったり、
ぶらぶらと歩きながら友達と談笑していた。
その中でも一際目立つグループの中に彼は居るわけで。
(ハギ……)
『シャトルラン、大丈夫なの?』
『大丈夫なんじゃない? シャトルランで倒れた事とか無いし。』
心配になった私は、彼が私を今朝迎えに来てくれた時に聞いてみた。
彼は心配しすぎだと笑っていた。
そのまま学校へと共に登校し、とうとうこの時間を迎えた訳だが、私は正直不安しかない。
(…)
(…)
改めて関係を問われると、
一体私と彼との関係が何なのか答えが出なかった。
勿論、私達は付き合ってないから “ 恋人 ” や “ 彼氏・彼女 ”という関係ではない。
かと言って、“ 友達 ” という言葉で括れる関係でもない気がする。
もっと大切で、もっと大きい。
(“ 親友 ” とか…? …にしては、距離が近すぎるか…いや、有り得なくはない…か?)
(駄目だ、似合う言葉が見つからない…)
隣で爆笑する友達の隣で、私はじっと網の向こうの彼を見続けた。
(私達の関係って…
何ていう言葉が似合うんだろう─────)
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。