第7話

生きてはならない人
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2019/02/07 11:37 更新
…朝、登校中に…八神と会った。
私を待っていたらしいー。

昨日の笑顔と、真逆で…暗い顔だった。

私は、近づいて『どうしたの?』って聞いてみると…八神は、冷たい目でこっちを見て…


こう言った。


八神 煌
うちの母が…あの犯人にやられた。
吉田 ちこ
……え?
『詳しく聞かせて』って言うと、八神は頷いて…歩きながら説明してくれた。
八神 煌
昨日の夕方、母が歩いていると…向こうから突然やって来て…襲いかかってきたらしい。
吉田 ちこ
む、向こうから…
八神 煌
そしてさ、近くにあった重めの石で母の左腕を殴ったんだ。
八神 煌
ひでぇよな?
吉田 ちこ
………。それで母は?無事?
八神 煌
怪我と、骨折で済んだよ…。
八神の目は、怒りだけだった。
拳を作り…震えていた。今すぐ殴りかかってもおかしくない状態だった。
八神 煌
あいつ…母まで殺す気かよ…。
八神 煌
ぜってー許さねぇ…
……本当…酷い…。


…本当に酷かったよ、あんたのお母さん。




あなたが母から聞かれた流れと…、本当の流れは 全然違うよ。

まぁ、私も悪かったんだけどー。

あの時も同じ……ちょっかいを出したのは向こうからだったよ…。


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《昨日の夕方》
煌の母
可哀s…
私は、あなたの全てを奪ったけど…私の全て や
…親を奪ったのは…あんたら じゃんか。


『人殺し。』 『可哀想』

って言われるのは…本当に腹が立った。
誰のせいで…母は亡くなったと思ってるの?


……ははっ…。




もう我慢出来なくて…11年前と同じように…気持ちに任せて…目の前の人を痛い目に合わせようとした。


私が襲いかかった勢いで バランスが崩れ、倒れるおばさんの上に馬乗りして…近くにあった重めの石で


思いっきり…左腕を殴った。


悲鳴が響いた。



もう1発殴ろうと思ったが…やめた。
『やめて!』と叫ぶ母の声が聞こえたような気がしたから…やめた。

聞こえるわけがない。だから…心の中の私が叫んだのだろうー。


俯いて…泣きながらこう言った。

吉田 ちこ
次…また会いに来たら…おじさんと同じようにしてやる……。

お願いだから、もう会いに来ないで。

それが…私にとっても、あなたにとっても1番いい道なのだと思うー。

どうか…理解して…。


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《現在》
八神 煌
泣きながら僕にこう言ったよ。
横を見ると…私の全てを奪った親の息子がいる。

その隣に…11年前の事件の犯人《私》が歩いている。

そうだって知ったら…八神は、絶望するんだろう…。

『何故早く気づかなかった?』ってーー。

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《昨夜、八神の家》
八神 煌
おい、大丈夫か!?
煌の母
あの人よ…あの人だわ…。
私も殺そうとしたのよ!!
母は、泣きながら僕にこう言った。

母の左腕は、血が出ていて…動かなかった。
煌の母
あいつは……怪物よ。生きてはならない人なのよ……。
僕も、そうだと思う。

母まで怪我させて…いや、殺されたのかもしれない…。

絶対に許さない…!!


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そのまま、学校に着き…いつも通りに時が流れた。

八神は、ずっと暗い顔で下ばっかり俯いていた。



私も…昨日のことや、八神の母が…八神に言った言葉が頭に残って…

それは、それで苦しかった。


私は、《生きてはならない人》か……。
うん、そうだね…。



色々と考え事をしていたら…もう夕方だ。

最近…時が流れるの早く感じる。



バッグを持って立ち上がると…誰かが前を通り、止まったのが見えた。

ゆっくり俯いていた顔をあげると…翔と、葵がそこに立っていた。

隣に座っていた八神も、顔をあげ…
八神 煌
なんだよ…?
と、呟く。

翔は、真剣な顔でこう言った。
今夜、〇〇神社で集合。
…だけを言い、質問も受けずに さっさと教室から出た。
八神 煌
ちょっとなんd…
吉田 ちこ
…どーいうこと?
理解出来ず…ぽかーんとしているわたし達に、今度は葵が口を開いた。
葵ちゃん
絶対に…来て。
と私たちを見つめながら言い、葵も教室から出ていった。



なんか大切な話でもあるの……?


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夜…私と、八神は言われた通りに〇〇神社に向かった。
長い階段を上った先には…私服の翔と、葵が立っていた。


雲に隠れていた月がだんだん顔を出し…少しずつ明るくなっていくー。







((嫌な予感がするのは気のせい?))




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