第24話

周の過去、後悔
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2021/04/28 10:51

(前の話「ずっとごめん」の続きです)


キーンコーンカーンコーン


優「5時間目始まるけど?」


今日の朝、私の中学時代の写真が晒され、具合が悪くなり保健室にいる。


お昼休みに目を覚ますと周がゼリーの差し入れを持って来てくれて、一緒に話しながらご飯を食べていた。


周「サボろっかな」


周はニヤッと笑っている。


優「悪いやつ」


優「周は私が佐々木優だったって気づかなかったの?」


私が聞くと、周は少し黙って頷いた。


優「ほんとアホだね」


周は悔しそうな顔になる。


私は意地悪に笑ってみせる。


周「だってさー!佐々木だったのに横田に苗字変わってるし」


周は言い訳をする。


優「お母さん再婚したからね」


私は笑って言う。


周「あとあと、変わりすぎだよ、俺の知ってた佐々木優はまんまるだった」


優「バカにしてる?」


周はへへっと笑った。


周の雰囲気が変わる。


周「俺がなんで優をいじめてたか、気にならない?」


優「いや、どうせキモイとか嫌いとかそんな理由でしょ?」


私が苦笑いすると周は首を振って否定した。


周「俺がいじめてた理由聞いてほしい、です」


優「うん、聞きますよ」


私が笑うと、少しだけ笑って話し出した。


周「俺、実は中学時代優のことが好きだったんだ」


周は照れた様子で私を見る。


優「は?」


周「ホントだって!!同じクラスになった時からずっと。」


確か、中1からずっと一緒のクラスだったよね。


優「どこが?」


周「優しい所。嫌われてる人でも、人気者でもみんなに優しくて、陰口ばっかり言う女子達に怒ったりできる所が好きだった。」


周「それに、羨ましかった。」


私なんて目立たない子とかいじめられてた子を庇って、陰口ばっかり言われてたのに。


優「うん」


周「好きだったのに、いじめられてた子を庇った優のことをいじめようってクラスLINEに来た時に嫌だって言えなくて」


優「うん」


周「俺が弱くて」


周は泣きそうな顔をしている。


優「だから虐めたってこと?」


周「うん、ごめん、」


周は下を向いたままこっちを見ない。


優「いーって、もう大丈夫だから」


私が周の顔を両手で包んでグイッと上を向かせると、周は涙目になっていた。


私は自然に周を抱きしめた。


何も考えずに、自然と。


優「周が私の事好きだったって知れてよかった」


周「ん、」


周「俺ずっと謝りたくて、後悔してて、」


周「少しでも変わりたくて、」


優「周は強いよ。私のこと庇ってくれるくらい、強くなった」


私は周の大きな背中を撫でながら言う。


はじめて周の弱い姿を見た。


周は私をいじめながらどんだけ悩んでたんだろう。


1人で辛い思いしてたのかな。


周の優しい所も真っ直ぐで素直な所も好きだよ。


そんなこと言えたらな。


周の力と匂いでいっぱいになりながら目をつむった。

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