スマホにメッセージを打ち込み、送信する。
送信ボタンを押したはずだけど.......
そういえば、いつの日か、花火大会では多くの人がインターネットに接続しようとするため、通信回線がとても混雑して流れが悪くなる、と聞いたことがある。
もしかしたら、それかもしれない。
どんどん不安になってくる。
独りだと、こんなにも、冷たいのか。
いつも飛とバクが居てくれたから......
いつの間にか忘れちゃってた。
明るければ、少しは不安が紛れる気がした。
あなたの下の名前は歩き始めた。
ヘマをした。
もっとあなたの下の名前を見ていれば...
いつの間にか居なくなっていた。
いつから?どこから?
居ないと気づいたのは確か........
そうだ。それもある。
だから早く見つけなければ。
浴衣だし、走りにくいだろう。もし逃げられなかったら..........
やめておこう。冷静でなくなってしまう。
どこからだ、どこから気づいた?
飛は少し俯いた。
龍子は優しく飛に声掛けた。
飛は目を見開き、閉じて、顔を上げた。
確かに、屋台なら人も多いだろうし、人の流れも見える。
その頃、あなたの下の名前は屋台の隅にいた。
屋台は人が頻繁に入れ替わる。
人探しには最適だと思った。
流石に、もう帰ってるとかはないと思う。
いや絶対にない。
飛たちがそんな酷いことするはずがない。
きっと大丈夫。
自分に言い聞かせないと、不安定になってしまう。
それは避けたい。なるべく冷静に行動しないと....
端の方で、あなたの下の名前はしゃがみこんだ。
花火が上がるまで、あと5分。
もう、間に合わないかもしれない。
その声を聞いた瞬間、あなたの下の名前は顔を上げた。
その声の持ち主は、髪の毛と目の色素が薄く、大きいバックパックを背負っている。
息を切らしており、頬が赤く染っていた。
私の大切な人______
あなたの下の名前は泣くのを堪えていた。
飛の後ろの方から龍子が来た。
龍子も安心したような顔をしていた。
あなたの下の名前は数秒黙った後、潤んだ瞳で見上げた。
色とりどりの花火が上がる。
数秒遅れて聞こえてくる、乾いた爆発音が心地よい。
横の2人はとても楽しそうで、目を輝かせていた。
飛も、久しぶりに見た花火に、少し目を輝かせていた。
あなたの下の名前は笑顔で言った。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。