コツコツ、カッカッとチョークの音が響く。
その心地いい音が、もっと眠気を進行させる。
今は英語の授業中。あまり好きじゃない、ていうか嫌いだ。
私の授業態度はふつーか、少し悪いくらい。
3、4回に1回くらいは寝ている。
なのでこの英語の先生(おばさん)は、私のことをよく思っていない、と私は思っている。
他の教科はあまり分からないが、まぁ、期待はしていない。
ノート提出したのに、みんなの前で『提出してないよね?』とか言われたり、私に対する態度が酷い気がする。
もちろん、面白い先生もいるが。
この先生は好きになれない。
ボンッ!
飛がバクを蹴った。
私と飛にしかバクの声は聞こえない。
それをいいことに、バクはこうやってたまに授業中に話しかけてくる。
まぁ、振り向くことは出来ないから大抵無視なんだけど...。
それより眠い、眠すぎる。
.........次の授業、優しい先生だからザボろ。
ガララ...ピシャリ
ということで、全然体調悪くないけど行きましょう。
保健室へ________!
保健室の先生はやさしい。
エンジェルスマイルで、保健室に来る人が多くなった。
でも嘘か嘘ではないかの見分けが凄まじく、仮病を使って保健室に来る人をせっせと追い出してしまう。
ふわふわしているように見えて、しっかりしているのだ。
私も仮病を使っている人に入るのだが.......私には、何故か優しい。
理由は分からないが、嬉しい。
ガララ、ピシャリ
行ってしまった。
でも、1人の方が楽だ。
ベッド周りのカーテルを開き、私はベッドに寝転んだ。
静かで、落ち着く。
学校はどこかしらうるさいからな。
先生たちの堅苦しい話や男子のうるさい騒ぎ声、女子たちの陰口など...嫌になってくる。
あ〜........黒い感情がぐるぐる回ってる...。
ガララ.....
人が来た。誰?
その人物は、こちらにやって来る。
......体調が悪いのか?
シャッ
そこには飛の姿があった。
私と同じか。
飛さん飛さん。その発言は危ういっすよ。18っすよ。
あと少しで照れるとこだった。
飛は、私が思っているよりずっと、私のことを見てくれていた。
その事実にすごく嬉しくなり、同時に、少し申し訳なくなった。
.......もう、考えるの、疲れちゃったかも。
私は、飛が私の寝ているベッドに腰掛けるように言った。
その一言は素っ気なかったが、私を安心させるのには充分だった。
私はすぐ、眠りに落ちた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。