なんでもない日のパーティ。リドルは、特別な経過観察を経てすっかり元気を取り戻していた。
ケイトはパーティー会場の隅でクラウンの腕に抱きつき、わざと周囲に見せつけるように体重を預ける。
クラウンが冷たくあしらうと、ケイトは不満げに頬を膨らませる。そこへ監督生が割り込んできた。
ケイトは監督生の口に強引にケーキを押し込み、話題を封じる。
その瞳は笑っているが、こめかみがピクリと引きつっていた。
エースたちの会話をよそに、ケイトはクラウンの隣にぴったりと身体を寄せた。
肩と肩が触れ合う近距離。ケイトはクラウンの服の裾を指先で弄りながら、上目遣いで訴える。
クラウンが辟易したようにケイトを押し返そうとした、その時。
ケイトはリドルの注意も耳に入らない様子で、フォークをクラウンの口元へ差し出す。
クラウンはそれを拒まず、迷いなく食らいついた。
口元についたクリームを、クラウンはゆっくりと指先で拭い、舌先で丁寧に舐め取る。
その仕草のあまりの艶っぽさに、近くで見ていたトレイまで思わず顔を背け、赤面した。
トレイが困惑して目を逸らす中、ケイトだけは熱っぽい瞳でクラウンを凝視していた。
その視線は、獲物をじっくりと追い詰める獣のそれだった。
ケイトの指先が、クラウンの腰に回される。その独占欲に満ちた強い力に、クラウンは「やれやれ」と小さく笑った。
クラウンの言葉に、トレイは言葉に詰まり、リドルは誇らしげに胸を張る。
その光景を眺めながら、クラウンはふっと、どこか人間味を真似たような、薄く冷たい笑みをこぼした。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。