第12話

11話
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2026/07/04 12:07 更新
なんでもない日のパーティ。リドルは、特別な経過観察を経てすっかり元気を取り戻していた。
ケイト
ジョーカーくん! 探したよ、また急にいなくなっちゃうんだもん。オレ、どんだけ心配したと思ってるの?
​ケイトはパーティー会場の隅でクラウンの腕に抱きつき、わざと周囲に見せつけるように体重を預ける。
クラウン
クラウン
……少しばかり、忙しかったんです。店長に言っていなかったので
​クラウンが冷たくあしらうと、ケイトは不満げに頬を膨らませる。そこへ監督生が割り込んできた。
監督生
あっ! 性癖を歪める購買員さん!
クラウン
クラウン
……酷い言われようですね。……ダイヤさん、貴方は一体、この子に俺の何を吹き込んだのですか?
監督生
え? だって、ケイト先輩のマジカメの中、クラウンさんの写真ばっかりで……
ケイト
あー! 監督生ちゃん、ちょーっとケーキ食べな! 美味しいよ?
ケイトは監督生の口に強引にケーキを押し込み、話題を封じる。

その瞳は笑っているが、こめかみがピクリと引きつっていた。
エース
結局さ、クラウンさん。この前はどうやって寮長を倒したんすか?
クラウン
クラウン
……別に、隙を見て後ろから殴っただけですよ。……ま、経験の差、ですかね
​エースたちの会話をよそに、ケイトはクラウンの隣にぴったりと身体を寄せた。

肩と肩が触れ合う近距離。ケイトはクラウンの服の裾を指先で弄りながら、上目遣いで訴える。
ケイト
ねえジョーカーくん、オレたちだけであっち行かない? 騒がしいの飽きちゃった……
クラウン
クラウン
……どうして俺が、貴方の退屈に付き合わなくてはならないのですか
ケイト
いいじゃん、今日は『特別な日』なんだから。ジョーカーくん、オレのことだけ見ててよ
クラウンが辟易したようにケイトを押し返そうとした、その時。
ケイト
……あ、ジョーカーくん、一口あげる! これ、オレが特に美味しいと思ったやつ!
リドル
こらケイト! クラウンさんは生徒ではないんだよ! 少し礼儀をわきまえないか!
ケイトはリドルの注意も耳に入らない様子で、フォークをクラウンの口元へ差し出す。

クラウンはそれを拒まず、迷いなく食らいついた。

口元についたクリームを、クラウンはゆっくりと指先で拭い、舌先で丁寧に舐め取る。

​その仕草のあまりの艶っぽさに、近くで見ていたトレイまで思わず顔を背け、赤面した。
リドル
……? トレイ、どうしたんだい? 顔が赤いよ
トレイ
いや……なんでもない。……クラウンさん、あの……リドルの教育に悪いので、そういうのは……その、もう少し自重を……
​トレイが困惑して目を逸らす中、ケイトだけは熱っぽい瞳でクラウンを凝視していた。

その視線は、獲物をじっくりと追い詰める獣のそれだった。
ケイト
(……っ、ズルい。そんな顔、オレ以外に見せるなんて……)
​ケイトの指先が、クラウンの腰に回される。その独占欲に満ちた強い力に、クラウンは「やれやれ」と小さく笑った。
クラウン
クラウン
……クローバーくん、腕がいいですね
トレイ
……っ、ありがとうございます……
​クラウンの言葉に、トレイは言葉に詰まり、リドルは誇らしげに胸を張る。

その光景を眺めながら、クラウンはふっと、どこか人間味を真似たような、薄く冷たい笑みをこぼした。

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