一旦教室に戻った私達は、作戦会議をしていた。
メンバーは私、結昂、龍弥、竜樹くん、流奈ちゃんの5人。
博多と泗芫くんは、『俺達は用無しだよな。』『5人とも、頑張れよ。』とどこかへ行ってしまった。大方他の教室だろうけど。
「で、あの女が都市伝説の女なんだな?」
「そう言う事。」
「見てない癖に偉そうに言うなよ」
「五月蝿い!アンタだって見てないでしょうが!!」
「まあまあ…」
龍弥と結昂の間に火花が飛び散っているのが見える。いや実際に見えるわけじゃないけども。
仲良いな〜…とか思ってるのは私だけだろうな、竜樹くんは真面目に困ってるし、流奈ちゃんは少し五月蝿そうにしている。
取り敢えず竜樹くんに『気にしなくて良いよ』とだけ言って、私はまた結昂達をなだめる。
少ししたら2人とも落ち着いたので、作戦会議を再開した。
竜樹くんには天使の死神が見えると分かったのまでは良いけど、問題はどう解決するかだ。
流奈ちゃんは、見て話しかけた人は死ぬとか言ってた。
竜樹くんをそこまで危険に晒すわけにはいかないし…
ちなみに、竜樹くんへの都市伝説の詳しい説明は流奈ちゃんに頼んだ。
今も流奈ちゃんは竜樹くんに説明してくれている。
「まあ別に犠牲にしても良くない?」
とは結昂の意見だ。勿論私も龍弥も断固反対である。
結昂も本気で言ってるわけではないのは分かっているけど、たまーにやらかす事があるんだよね。有言実行。もう怖くて怖くて。
正直この場では結昂はあまりあてにならないと思う。頭は良いんだけど、言動が笑えない冗談ばかりなのだ。
「…で、どうするよ」
「うーん……」
まあ、結昂は置いとくとして。本当に良い方法が思い浮かばない。
竜樹くんに行ってもらうしか無いんだろうけど、それで死なれたらと考えると恐ろしい。
どうしたら良いのかと、私達は頭を抱えた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!