第72話

戦いの行方は
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2021/11/03 09:50 更新


〜あなたside〜



あなた「棘先輩!」


棘「しゃけ!!」



私の合図と共に、2人で真反対の方向へと駆け出し、呪霊の撹乱を誘う。




呪霊「小賢しい…、」


忌々しそうにそう呟くと、次の一瞬で自身の胴体から腕を数本伸ばしてきた。



それをギリギリで躱しながら、私は相手の様子を伺う。



…今のところ、私と棘先輩への攻撃で手一杯って感じか。





私は右手に収まっている銃をグッと強く握りしめる。






大丈夫、私ならやれる。


息を整え、自分の全神経を集中させて、私は手元の銃に全身の呪力を込める。






あなた「…融解溶明、“業火霰ごうかあられ”!!」




発砲音が宙に響き、迫る呪霊の腕へと食い込んだ。


瞬間、その部分から炎が激しく燃え上がり、呪霊からは「ア"ア"ア"ッ…!!」と苛立った声で叫び苦しんでいる。







“業火霰”、それは銃から発砲される銃弾に自身の呪力を込めて撃つ事によって、呪具としてのみならず呪力による攻撃も可能となり、相手へのダメージも倍となる攻撃。



燃え上がる炎は、身体の内側から呪霊を燃やす。内側からじわじわと痛み付けられる屈辱を避けることは不可能だ。





あなた「……じっくり味わってよ。」



“露光弾”と合わせてそれを編み出すために、戦いで使えるようにずっと1人練習してきたんだから…。






と、炎に包まれた呪霊に向かって、先程吹き飛ばされた鵺が、恵を乗せて加速していく。




恵「鵺っ!そのまま突っ込め!!」


その声に応えるように鵺は甲高く鳴き、恵は鵺から飛び降りる。


鵺はその翼に雷光を光らせ、恵は呪具の刀を取り出した。





2つの鋭い刃が特級呪霊を襲う。



呪霊「グハッ………ッ!!」




流石の特級もその威力は効いたようで、抵抗も出来ぬままにもう1発、恵が刀で両腕を切り裂いた。




あなた「殺った……!」


恵「油断するな!このまま連撃する!」


棘「すじこ、しゃけ!(僕が拘束するよ、恵!)」



「援護します!」と言って、私が棘先輩の元へ駆けつけると、こちらに向く攻撃を呪力で応戦する。



飛んでくる攻撃は私だけでなく、後ろに庇っている棘先輩も狙っていて、こちらが攻撃し返す暇さえ与えてくれない。



くっ……、さっきまで分散してた攻撃が一点に集まるせいで、攻撃を受け流すのに精一杯だ。





あなた「っ、棘先輩!!」


私がそう叫ぶと同時に、後ろから先輩の気配が消えた。





棘「……うごくな、」



私に呪言が効かないよう高く飛び、空中であの独特の脳に響く綺麗な声で先輩は叫んだ。






その気が波のように空気を揺らし、呪霊に当たるとその動きをピタリと止める。



あなた「恵!」


恵「分かってる。……大蛇おろち!!」



瞬間、呪霊の立つ旧校舎の屋上の足場から、巨大な蛇…恵の式神が現れる。


それは呪霊に噛み付くと、そのまま首を空へと伸ばし、そこでやつの動きを封じた。




呪霊「グッ……、蛇の式神か…手荒な真似をしてくれる。」





…今ならいける、!!



そう確信した私は両手に呪力を込め、球状の光を作った。




棘「ツナ、明太子!!(恵、目瞑ってて!!)」



私の技を1度見たことのある棘先輩は、私の意図をすぐに汲んでくれたようで、恵にそう告げた。





あなた「融解溶明…“露光弾”!!」



放たれた露光弾は、拘束された呪霊の目前までその形を保ち、触れた瞬間、激しい光と熱を放つ。





呪霊「グアアアッ……ッ!!!」




耳に酷く波打つように、その振動で空気を揺らすほどの叫び声が私たちを襲い、私は耳を塞ぎたくなる衝動を抑える。









そのまま“熔化光”も放ち、更に追い討ちをかけようと白い光に包まれる中、手を組んだ瞬間、















恵「あなた…!一旦引けっ!!」




その声が聞こえたのは幸いにも耳を塞いていなかったから。






…だが、もしも一旦距離を置いて、立て直してから再び攻撃をしていれば……こんな事にはならなかったはずだ。










グシャ………ッ








視界から目に突き刺すような白い光が和らいでいき、徐々に辺りに目が慣れる。





目の前の出来事が鮮明に見えてから最初に感じたのは…視界いっぱいに広がる白い光が、赤い飛沫に変わっていた事。










私の前に覆い被さる影。




______それは、この世で1番見慣れた背中だった。
















あなた「恵っ………!!!」































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